第34話 再加入
「にげろ!」
俺の声にガーベラたちはすぐに反応し逃げる。命の危険を感じたコスモの全速力はあまりにも早く、目で追うことはできなかった。
てか、目の前に血が見えるほどの出血をしたのか。腹のでかい動脈が切れたんだろうな。血が足りなくなったんだろうか、一瞬で視界がぼやける。このままだとミールの回復魔法ですら間に合わなくなるのではないか。そんなことを考えていると、
「ほう、こんなにも弱い奴にオーガたちがやられていたのか。あいつらがそんなにも弱くなってしまったか、もしくはお前たちが相当せこい手を使ったのか。まあ、どちらでもよい。全員をここで殺してしまえばいい。」
「や、やれる、もの、ならやって、みろ。」
「死にぞこないのくせに随分と喋るではないか、今楽にしてやる。」
くそ!少しは遊んでやるとか言って時間をくれよ!やばい、意識が飛びそうだ。
「フラッシュ」
突然、聞き覚えのある声がしたと思ったら目の前が光った。俺は何も見えないが、担がれたのか?どこかに運ばれている気がする。
「パーフェクトヒール!」
さらに聞き覚えのある声がし、意識が鮮明になる。
「よかった、間に合いましたね。」
「助かってよかったです。」
「クロ、助けてくれたのか。」
「はい、よく考えて、このまま終わってしまうのはダメなことなんだと思って。」
「そうか、それじゃあ、あいつをどうにかするのを手伝ってくれ。」
クロは力強くうなづき、俺の目をしっかり見る。これは覚悟できてるな。さて、あいつは何なんだ。どうすれば勝てるんだ。てか、勝つ必要性があるのか?
「なかなか面白い奴らだな。少しは遊んでやるぞ。」
マジか、声の感じから随分と近いところにいるようで。この様子だとこちらの大体の位置は把握できているんだろうな。怖すぎだろ。
「あいつが何なのか知ってるか。」
「わかりません。ただ、魔力が一切感じないですね。」
「私もわからないです。ただ、サーチで位置が掴みづらくて不気味な感じです。」
本当に不気味だな、ただ言えることとしては、オーガに近い何かであることとしか言えない。オーガたちとか言ってるし。
しかし、太刀筋が見えないような敵とは戦いたくないな。実力差がはっきりしているよ。だが、一度逃げたのも関わらず、こっちのことを把握できている時点で逃走はできない。ならばどうにかして戦うしかないのか。
「まだかかってこないのか。そろそろこちらから行ってもいいんだぞ。」
こえー。ヤクザかなんかかよ。でも、クロが覚悟を決めたんだ。俺が覚悟を決めないでどうするよ。
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