第33話 再度オーガ討伐
クロの逃げ足がすごく早いため、追いつくのにかなりの時間がかかるのかと思ったが、コスモが早くてすぐに追いつかれていた。
「早すぎますよ!気配も消したつもりだったんですよ!」
「コスモは鼻もいいからね!逃がさないよ!」
俺とミールは走りだったので息を切らしながらも追いついた。
「はぁ、急にどうしたんだよ。」
「いざオーガを見ると怖くなってしまって。」
「怖い気持ちはわかるけど、チームを組んていて一人が逃げ始めたらほかの人がどうなるのか考えたか?」
「・・・」
クロは俺の言葉を受けてうつむいてしまった。しかし、こればかりは信頼に関わってくることである。背中を任すことができないのであればそれを仲間とは呼べない。その裏切りが仲間の生死に関わってくる。
時間にして数秒であるだろうが、クロはうつむいて何も答えていない。すぐに答えが出ないのであれば、仲間として認めるわけにはいかない。
「短い間だったけど、ここまでだ。僕たちは行くよ。」
「・・・」
答える気がないのであれば、行くしかない。前も三人で倒すことができたんだから何とかなるだろう。
オーガのいるところに戻ってきた。クロはあのまま動かなかったが相手をしている余裕はない。作戦を立て直してオーガに挑むしかない。
「行くよ!コスモ!」
勢いよくコスモとガーベラがオーガに突っ込んでく。
「グゴー!」
オーガは雄たけびを上げながらガーベラたちに火の玉を放つ。
「そんなの当たらないよ!」
ガーベラたちは素早い動きで火の玉を躱していく。そして、オーガの足の下を通りすぎる。
「フライ!」
俺は勢いよくオーガの顔の前まで飛んでいる。どうやってそこまで飛んだかというと、ガーベラと俺をコスモが十分加速できるくらいの長い紐で結んでおく。そして、コスモに勢いよく引っ張られるタイミングでフライを使って上斜め前に飛べたという感じである。
「ストーンスロー!」
片目をストーンスロー、もう片目を剣でつぶす。
「ゴオー!」
「ガーベラ!」
「任せて!」
ガーベラたちは、両目をつぶされて叫んでいるオーガの後ろから頭上付近までジャンプしている。そして、落下しながら大剣でオーガの首を両断する。
「いえーい!」
「作戦がうまくいってよかった。コスモもありがとう。」
「バウ!」
作戦がうまく決まり、オーガを無傷で倒すことができた。一日一回の手段ではあるが、ここまでスムーズに倒せるのはすごいことであると思う。
「最近、 オーガたちに悪さをしているのはおぬしらか。」
急に低く落ち着いた声が聞こえた。目の前には俺と背丈が似ている人が立っている。誰だ、そう思った瞬間に目の前に血が見えた。俺の腹が横一文字に切れていた。
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