第31話 この調子で戦えるのか
クロが仲間になり数日が立ち、ようやく謹慎が解けた。それと同時に新しい武器が完成した。
「お、意外と強い兄ちゃんじゃねーか」
「ど、どうも」
随分と失礼である。たしかに強くはないから何も言い返せないんだけどさ。それでも何か言いようはあるだろ。
「それで新しい剣と盾なんだけどよ、耐久性にプラスして面白い効果が付いたんだよ。」
「面白い効果ですか。」
「それがよ、剣の方は魔法を吸収するって効果が付いたみたいで面白いことができそうな感じになったんだ。」
確かに面白そうではあるがそれはそれで大丈夫なのか。俺が魔法を使えなくなるのではないか。そんなことを考えていると、
「そんなに気にすることじゃないぞ、触れてなければ吸収しない。あれだ、属性付きの剣になると思えばいいじゃないか。」
属性付きとはなんともそそられる響きである。どんなことができるんだろうか、今日は謹慎が終わったので試しに行こう。
はじめての4人と1匹の冒険が始まる。ちなみに今回の依頼はオーガの討伐である。謹慎になった原因のハイスピードウルフはここにいるのだが、集落からはぐれてしまったオーガが残ってしまっているようだ。しかし、ここの町は高ランクの冒険者はおらずオーガ討伐に行くだけでも結構命とりになってしまうそうだ。そこでオーガ討伐経験のある俺たちに指名が入った。すごくいきたくない、だって前は普通に死ぬ思いまでしてやったのだから気が進まないのである。
「ユートさんどうしました?あまり顔色が優れないような気がしますけど。」
「いや、今回もいけるのかなって思ってさ」
「ユートなら大丈夫だよ!」
いや、その自信はどこから出てくるんだよ。そんなに信頼されも困るもんである。しかし、今となっては自分の仲間になってしまったコスモが原因でもあるわけなので、どうにかしないといけないだろう。
いつものように町を出て平原に出る。ここまでは慣れたもんである、なんて思っていたら、
「やっぱり行きたくないです。」
「クロ、急にどうしたの?」
「いや、ユートさんたちがオーガを倒せるほど強い人なんて思ってなくて、簡単な依頼しか行かないと思ってたんですよ。」
「大丈夫!前線に立って戦うのはユートだけだよ!」
「えっ、ユートさんってそんなに強いんですか?」
なんか随分と失礼なことを言われている気がする。たしかに前線に立つのはほとんど俺なんだけどさ。
「いや、まぐれだよ、まぐれ。」
「またまたそんなこと言って~」
笑いながらクロは俺の後ろにぴったりついて歩き始める。やっぱり前線は俺だけなんだな。
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