第21話 異世界のモンスターを食べるのか

 オーガ戦にてオーガにとどめをさした彼女はいったい何なんだろう。いくら手負いのオーガであっても首を一刀両断するのは相当強いのではないか。

「料理人ですか、なんか、もう少し詳しく教えていただけませんか?」

「えっ、あたしのことについて?んー、料理人以外なんとも言えないんだけど。」

「ただの料理人がオーガの首を一刀両断するのは変だと思うのですが」

 さすがにミールも気になっているのかそんなことを言い始めた。それもそうだ、いくら何でも料理人を名乗るには力がありすぎる。

「あー!この大剣のことね。この大剣はね、1日に一回、振り下ろすときに重くなって切れるようにもなるの。だから、大きいモンスターの解体ができるの!」

 そう言って大剣を手渡してくれる。たしかにすごく軽い、俺の持っている短剣と大して変わらないくらいの重さだ。そして、刃を触ってみるも鋭さはなく何も切れる感じがしない。本当に特殊な大剣なんだな。

「それはそうと、このオーガもらってもいい?料理してみたくて」

「オーガって料理できるんですか?」

「普通の人ならできないと思うけど、あたしならできるの!」

 すごい自身をお持ちのようで。

「まあーそれならいいですけど。」

「ありがと!じゃあ、お礼にごちそうするね!」


 ガーベラは背負っていたカバンから魔道具を数個出し始めた。全部小型化されているみたいで、テーブルに椅子、コンロのようなもの、あとは料理に使うであろう小道具を出していた。そして、待つこと1時間ほど。

「どうぞ召し上がれ!」

 目の前に出されたのはステーキであり、湯気が立っている。筋肉質なオーガからは考えられないほど柔らかそうな見た目をしている。匂いも香ばしいもので食欲をそそられる。早速いただこう。

 あまりの柔らかさに驚きが隠せない。ナイフを当てた瞬間にスッと刃が入る。これは絶対においしいやつだ。ステーキを口に入れるとよくわかる。柔らかいが脂っこすぎず、肉のうまみが口の中全体に広がる。米が欲しい。

「うまいな!」

「おいしいですね!」

「それはよかった!」

 一口食べたら止まらず、すぐに食べ終えてしまった。こっちの世界ではまずくはないが味気無いものばかりであったので余計に食が進んだ。


「「ごちそうさまでした!」」

「ずいぶんとおいしそうに食べるね~」

「それは本当においしかったからね」

「そんなにおいしかったんなら一つ頼みたいことがあるんだけど。」

 急に真剣な表情になる。なんか怖いんだけど。

「今日初めて会ったばかりなんだけ、あたしとチーム組んでくれない?あたし戦闘ができなくどこのチームにも入れなくて。」

「本当ですか!ユートさんがいいって言うならぜひ!」

 ミールは随分と乗り気のようであり、生き生きとしている。んー、戦闘ができないのか、けど、こんなにおいしいものが食べられるしな。

「一つ言っておきますが、戦えるのは僕しかいないですよ。そして、あんまり強くないですからね」

「えっ、いいんですか!ありがとうございます!」

 この子話聞いてたかな。まあいいか。こうして新しくガーベラがチームに入った。

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