第20話 対オーガ戦
冷静に考えろ、前のオークは鼻が良くてシャドウを見破っていた。オーガは魔力に敏感なだけであるかもしれない。そして、生き物であるからに弱点もないわけではないだろう。魔力に敏感であればそれはそれでどうにかなるか?確証はないがやってみるしかない。
「シャドウ」
魔力に敏感であればこれならどうだ。いつものように左右に分かれて相手をかく乱してみる。しかし、本体の方に目線が向けられている。魔力量か。
「くそ!」
オーガは本体の方に向かって殴り掛かりにくる。素早い動きのため躱すことは難しく、体は大きく後方に吹き飛ぶ。
全身に鈍い痛みが走るが思ったより軽傷で済んだ。最近でかいモンスターに痛い目にあわされてばっかりだから少しは慣れたのもあるし、ミールが殴られる直前に回復魔法をかけてくれていたおかげだろう。
なかなかオーガを欺くことができないが、それでも何とかして攻撃を仕掛けるしかない。魔力量で見ているならそれもそれでどうにかなるだろう。
「トラップ!」
数か所に落とし穴を生成する。
「シャドウ」
また二手に分かれる。本来ならオーガはどちらが本物であるか気づけるだろう。しかし、オーガは二人のどちらが本物かわからず左右の影を見る。種明かしをすると、トラップを使用し、魔力量を減らすことでシャドウの魔力量の差をなくした。
二つの影はオークに向かって走り出す。どちらかに向かって攻撃を仕掛けるだろう。しかし、はじめは戸惑っていたオーガであったが、
「グオー!」
オーガは考えるのをやめたのか、左右の影に対して巨大な火の玉を飛ばした。二つの影は火の玉によって消し飛ぶ。
「まさかどっちも狙うとはね」
背後からオーガの肩に飛び乗った俺は思わず声が漏れてしまった。なぜ背後に回れたかと言うと、トラップを数個、シャドウを2回使ってちょうど魔力を切らせるように調節して、片方のシャドウの陰に隠れて移動した。魔力に敏感な特性を利用して背後に回ったのだ。それはそうとして、やらなければいけないことがある。すぐさまオーガの目に短剣を突き立てる。
「グガー!!!」
はじめて感じた激痛であろう、あまりの痛みにオーガはよろめく。そして、そこら中にばらまいたトラップに引っかかり、態勢を崩し倒れる。倒れた拍子に俺も飛ばされる。片目はつぶして今は倒れている、それなら、
「逃げましょう!」
ミールに言い放ち走り出そうとした、その時、
「この肉はおいしく料理できるかな?」
オーガの方から声がした。誰の声だ、そう思いオーガの方を再度見る。すると倒れたオーガの首元に大剣を振り上げた少女?がいた。次の瞬間には大剣を振り下ろし、オーガの首を真っ二つに切っていた。
「すごいね君、オーガに対してこんなに戦うことができるなんて!」
何か話しかけられているが、あまりのできごとに唖然としていた。なんなんだこの子は。
「あ、あの、助けていただいてありがとうございます。急に申し訳ないのですか、あなたはなんでしょうか」
「あたし?あたしはさすらいの料理人、ガーベラ!あなたの名前は?」
「僕のユート、あちらの彼女はミール」
「ユートさんにミールさんね!」
赤い髪を一つに結んだ少女は楽しそうに話している。
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