第19話 焦り

 レベルアップとお金稼ぎのためにゴブリンを討伐することに決定した。またオークを討伐するにはハードルが高すぎる。毎回あんな考えて戦っていたら心も体も持たない、それはミールの同じ考えをしていた。

 

 すぐに依頼を受けて町を出る。いつものように草原に向かい、ゴブリンを探していく。案の定すぐに見つかり討伐する。レベルがあがり、ミールもいるためやっぱり楽である。ゴブリン数体とスライム一匹を討伐して休憩する。

「やっぱり、ミールさんがいるとすごく楽にできますね。」

「そうですか!それはよかったです!」

 相当うれしいのかすごく喜んでいる。もともと可愛いのに、こんなに笑顔だとまぶしすぎる。そんなことを考えていたが、ミールはそんなことを気にする様子はなく、喜びに浸っている。


 そろそろ次のゴブリン討伐に行こうとしたその時、近くで大きな足音がした。今までに聞いたことのない力強い足音であった。

 身の危険を感じ、近くにあった岩陰に隠れる。そこに姿を現したのは、赤く大きな体、額には左右対称の角が生えている。その容姿からするにオーガである。

 明らかに今まで戦ってきた中で圧倒的に強く、見ただけで冷や汗が出てくる。こいつはやばいと本能が訴えてくる。

 

 ここはいつものように逃げるのが正解であろう。そう思い、ミールと無言で顔を合わせて頷く。二人同時にオーガに背を向けて走り出す。とその瞬間、

「パキッ」

 ミールの足もとから木の枝が折れる音がする。あっ。オーガはこちらに気が付き、勢いよく走ってくる。

「どうしていつもこうなるんだよー!」

「ごめんなさーい!」

 二人の声が昼間の森に響き渡る。

 

 二人は全速力で逃げているが一向に足音は遠くならず、言うなればだんだん近づいている気がする。こればっかりは逃げきれないようだ。どうにか足止めするか倒すしかない。しかし、今までの敵と違って明らかに格上である。どうしたものか、けどやってみるしかない。

 自分の中で強力な魔法を打ちたいが、威力は大したことないから小細工でどうにかしていくのが一番生き残れる気がする。

「トラップ!」

 オーガの足元に落とし穴を作る。しかし、オーガはそれに気が付いたのか、足元を見ながら避ける。

「まじか」

 いつも手が効かない。ただでさえ焦っているのに、さらに焦りが強くなる。考えろ、せめて生き残れるようにしなくては。

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