第16話 無難に挑戦

 せっかくFランクに昇格したので、Fランクから受けられる依頼を受けてみよう。 掲示板を見に行くと、Fランクから依頼の量はすごく増えている。Gランクは誰でもなられるから、依頼の様子を見て決めていくのだろう。


「どうしますか、結構いろいろな依頼がありますが。」

「そうですね…。」

 いろいろな種類があるから本格的に迷うな。正直、どれをやっても戦うのは俺しかいないし、魔法攻撃のみが有効だとどうしても火力不足になりかねない。だからと言って物理だけでも硬い敵でも火力不足になる。困ったもんだ。

「では、無難にオークとか行ってみますか?」

「それもそうですね、モンスターが尖っているやつだと倒すのが大変そうですからね。」


 オークの依頼を済ませて目的地に向かう。いつもの草原に行き、奥に進むとオークが生息する場所に着くみたいだ。


「全然見つかりませんね。」

「ほんとにね、結構すぐに見つかると思いますなんて言われたのにね。」

 かれこれ一時間くらいになると思うのだが、本当に見つからない。受付の人に広範囲に生息しているから見つかるなんて言われたが。もしかしたら、ゴブリンの集落ができたことに何か関係しているのか?そんなことを考えて歩いていると、奥に巨大な影が見える。


「奥になんかいる。」

「ほんとですね。」

 見つからないように、足音を抑えて近づいていく。こちらには気づいておらず、魔法の有効射程に入ることができた。何か強めの魔法でやるのは無難だよな。

 「ファイヤーボール!」

 手から出ていった火の玉はまっすぐオークに向かっていく。昨日練習していた甲斐があったな。そして、オークにあたる。しかし、正面が少し焦げている程度で全然ダメージは入っているようには見えなかった。そして怒った。

 

「グオーー!!」

 やっぱりこうなるのね。怒ったオークはこちらに走って向かってくる。足はだいぶ遅い感じであった。

「いったん逃げましょう!」

「はい!」

 二人とも逃げるのが得意になったようで、走れ出してからものの数秒でオークを撒く。


「いつも通り、何か作戦を考えてから行きますか。」

「そうしましょう。けど、私いつも何も作戦考えてないですよね」

「それは別にいいんですよ。できることは人それぞれ違いますし。」

「そうですか。」

 若干解せないようなミールであったが、こればっかりは得意、不得意があると思うのだが。という俺も、今までうまくいってるだけで穴だらけの作戦だろうけど。

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