第8話 襲撃

 ゴブリンの頭が転がり落ち、体から血が噴き出す。スライムほどではなかったが、油断すればどこかしらは怪我をしていただろう。さすがにレベルアップしたばかりなため今回はレベルアップしなかった。しかし、新しくモンスターを倒すことができたのは十分な成果である。

 ゴブリンも倒すことができたし、これ以上草原にいてもいいことはない。そう思い帰ろうとしたその時。後ろからものすごい勢いで何かが近づいてくる。後ろを振り向くもすでに手遅れであった。

横腹には鋭い痛みが走り、出血していた。急な出来事であったため状況を理解することが困難であったが、身の危険は感じ取ったため、近くの岩陰に隠れる。

痛い。人生今まで大層な怪我をせずに過ごしてきたため、あまりの痛みに冷や汗が止まらない。しかし、そんなことをしていても相手は待ってくれない。頭を働かせ、そうしないと死ぬぞ。自分に言い聞かせる。

 止血をするために傷口を手で思いっきり押す。そして、傷の感じからして爪の類いで切られたのだろう。ならば、犬や猫の系統であると予想する。それならば一つ考えがある。しかし、相当運に頼った手段であるが、魔力は枯渇しているし、深手を負っている。そして、相手のことは全くわからない。ならばやるしかない。何もせずに死ぬぐらいなら運に頼るしかない。

 手元にあった石を近場に投げる。そして、石の落ちたあたりに手に持っていた短剣を思いっきり投げる。自分を襲ってきたなにかは、石の音がしたほうに素早く走りだしていた。そして、短剣は命中する。そのなにかは、地面に倒れ、鈍い音を立てながら滑っていく。

 何とか命中はしたようだ。しかし、横腹の傷が思ったよりも深かったのか、大量の出血をしていた。そして、出血のしすぎか意識が遠くなり、視界が霞んでくる。やばいな、血を出しすぎたかな。全身の力が抜けていき岩にもたれかかる。

「異世界転生をしてもなんの活躍もせずに死んでいくんか」

そんな独り言をつぶやく。意識が遠くなっていく。

「ヒール!」

どこからか声が聞こえてきた。

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