番外編3-5
「おっぱいが大きいんだあああああ」
セラが高らかと叫ぶ。既に注目されていたがその行為にその場が和む。
「あらあら……面白い子ですね」
「…………………………」
「……阿頼耶…自分のを揉むのは止めろ」
「失礼しました」
「あああああああああ」
セラはまだ叫ぶ。ちょっと本当にうるさい。叫び声と勘違いした兵士が突撃してきそうなくらい叫ぶ。
「レインさん!私は着痩せするタイプですから!」
「……ニーナさん?何の話ですか?」
「…………やっぱりお胸って大きい方がいいの?」
「エリスは耳塞いでなさい。コラ!触らない!」
「ああああああああああ」
まだ叫んでいる。よく息が続くものだ。レインがコイツを雇うのは失敗だったんじゃないかと思えた時だった。
ドゴンッ――というダンジョンでモンスターを討伐した時くらいしか聞かないような音と共にセラが床に頭からめり込んだ。
赤面し、立ち上がったアメリアの肘打ちが脳天に直撃して1発で沈められた。アメリア……いい腕持ってんなぁと感心した。
「…………みなさま大変失礼致しました。この
「別にいいですよ?貴方が大きいのは事実ですし誇っていい事だと思います」
「い、いえ……そんな……こんなのあっても困るだけ……といいますか……」
「あら?私への当てつけかしら?」
シャーロットは自分のを撫でながら笑う。目が笑ってないのが怖い。この人はこういうところがある。
「滅相もありません!」
「ふふ……冗談です。……ちなみにレインさんは大きい方と小さい方……どっちが良いんですか?」
シャーロットのその質問にその場が凍りついた。さすがに鈍感が服を着て歩いているレベルのレインでもここで回答を間違えれば死ぬということは分かる。
シャーロットは自分のを触りながらアメリアのを見て、こちらも見てくる。ただあまり人の胸に関してマジマジと見た事がないから大きさとか言われてもよく分からない。
"なんでこんなことになったんだ。……メルクーアのダンジョンの方が楽に思えてくる。はあ……帰りたい………ここが家だった"
「あー……どっちがいい……っていうよりは……あー、えーと……好きになった人がそうなら……それでいいというか……」
これが限界だった。みんなが凄い目でこっちを睨んで来ている。これならモンスターに囲まれていた方がいくらかマシだ。
「無難な答えですね。……まあいいと思います」
シャーロットは何かを納得したのか、ティーカップを持ち上げてお茶を飲む。そしてカチャリと音を立てて机に置いた。
「…………それで好きな方……いえ気になっている方などはいらっしゃいますか?」
また全員がこっちを見る。頼むから睨まないでほしい。視線が怖い。
「別に……いないですけど……」
恋愛というものは本当によく分からない。これまでエリスのために必死だったから自分のそっち方面のことはあまり考えた事がない。メルクーアでも言ったのに……いやあそこではニーナさんとオルガだけだった。
「ならもしこの中の誰かと結婚しないと世界が滅ぶとなったらどうしますか?あくまで、もしもの話で子供がするようなおもしろ話の1つみたいなものです」
"これは誤魔化せないタイプだな。どうせエリスっていう選択肢は無しだろうし。ただ今回はメルクーアの時のようにはならないようにしないとな。というかそういう事なら決まってるし……"
「ちなみに1人選んだら他の人はどうなるんですか?」
「え?!……そうですね…ではその人以外は居なくなる……という事にしましょうか?選んだ1人だけが残るって感じです。死ぬとかじゃないですよ?選んだ人と2人で全く新しい土地に行くって事にしましょうか」
「そうですか……じゃあアメリアで」
「「「え?」」」
女性陣全員の声が一致する。そしてレインへ向けての視線も集まる。身体に穴が開きそうだ。
「…………え?」
"何でこんな空気になってんの?言えっていうから言ったのに?"
「な、なぜ……アメリアさんなのですか?まさか胸が?!」
この王女様も1回くらい殴った方がいいかもしれないな。アメリアも自分の胸を隠すように腕を組まないでほしい。その目をやめろ。
「……いや、もうアメリアの料理がないと生きてけないから。本当に1人しか選べないならアメリアがいいかな?……まあでも俺は……今みたいな感じが1番好きですね。こうやってお喋りしながらみんなでご飯食べてる時が1番好きです。……な?」
そう言ってレインは横でアメリアの料理を頬張るエリスの頭を撫でる。この話にあまり興味がなかったエリスは急いで口の中の物を飲み込んでこちらを向く。
「うん!」
そして悶絶するほどの可愛い笑顔で頷いた。
「……ありがとう……ございます。私は果報者です。ご主人様……レイン様に出会えて本当に良かったです」
「泣くなよ……まあ……改めてよろしく」
「は、はい!はい!よろしくお願いしますぅ!」
アメリアは涙を流しながらレインの手を握った。こんなにも涙脆い人だっただろうかと不思議に思った。
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