第4話 ご対面
藤沢にそう言われた希海は現在、藤沢と並んでお嬢様の部屋に向かって歩いていた。
「でも…なんでお嬢様の世話を男にやらせるんですか?」
希海にとっては疑問でしかなかった。年頃の女の子の世話を男に任せていいものだろうか?
「お嬢様には、もう少し男性と関われるようになって欲しいと考えているのが一点。あとは男性の方がもしお嬢様の身に何かあった時に守れると考えているから、ですかね?」
「な、なるほど…。そんな理由があったんですね…」
「希海さんは、結構筋肉もありそうだし、もしお嬢様に何かあった時は、充分守ってあげられると思いますよ」
「あはは…これでも1年近くニートだったんですけどね…」
「職歴なんて関係ないですよ!さ、ここがお嬢様のお部屋です」
話しながら歩いてるうちにいつの間にかお嬢様の部屋の前まで来てしまっていた。
「…緊張しますね」
「緊張する必要なんてありませんよ。それでは参りましょうか」
そういうと藤沢はドアをノックした
「お嬢様、藤沢です。入室してもよろしいでしょうか?」
藤沢がそう声をかけたあと、少しして奥から声が聞こえた。
「藤沢?どうしたの?入ってきていいわよ」
「ありがとうございます。では希海さん、いきましょうか?」
「…はい」
これでお嬢様と初対面、希海は緊張しながらもお嬢様の部屋の扉を開けるのだった。
「お嬢様、おはようございます」
「ええ、おはよう。こんな朝からどうしたの?」
「今日はご紹介したい方がいらっしゃいまして」
と、軽く挨拶を交わした後に藤沢が手で希海の方を指した。
「今日からうちで働いていただくことになった長谷川さんです」
「えっと、今、ご紹介にあがりました長谷川で……え?ええぇぇえ!?」
なんと、目の前にいたのは、あの時横断歩道で助けた女の子だったのだ。
「あ、あなたは…あの時の方…ですよね?」
「…え?ん?お嬢様はこの方とお知り合いなんですか?」
藤沢は2人の様子を見て頭に?マークが浮かんでいた。
「その節は助けていただき、本当にありがとうございました!」
「あ…いえ、とんでもないです。あはは、こんな偶然って起こるもんなんですね…」
「…え?助けた?え??長谷川さんが…?何がどうなってるんですか…?」
藤沢はもうテンパってしまっていて正常稼働できなくなってしまっていた。
「え~っと…ついこの間横断歩道でばたりと会いまして…轢かれそうになってたので助けた感じです…」
「へぇ~…なるほど、助けたんですね………って!お嬢様がそんなことになってたんですか!?」
「あら…言ってなかったかしら?」
「聞いてないし、今初耳なんですけれど!?」
藤沢はテンパリすぎてキャラが崩壊しちゃってるし…
自己紹介するはずが藤沢に一連の事を説明する羽目になってしまったが、これなら長谷川もやっていけるのではないかと思うのだった。
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