第3話 使用人の仕事
次の日。
希海は不安な気持ちを残したまま使用人用の服に着替えていた。
「ほんとに大丈夫なんかな…?」
ちゃんとした面接もしていないのに即採用が決定し、その翌日からは業務に当たるなんて…。
「長谷川さん、おはようございます。今入っても大丈夫でしょうか?」
んな事を考えながら着替えていたら扉の前から藤沢の声が聞こえてきた。
「はい!大丈夫ですよ。どうぞ!」
希海がそう答えると扉が開かれ藤沢が入ってきた。
「改めまして、おはようございます」
「あっ、おはようございます」
藤沢の挨拶につられて希海も挨拶を返した。
「昨晩はちゃんと寝られたみたいで良かったです!環境が変わると寝られない方もいらっしゃるようですが…」
「……どうして分かるんですか…?」
昨日は疲れていたということもあり、すぐに眠りについてしまい、今朝までぐっすりだったが……。
「いえ、お顔の様子からして寝られたんだな~と思っただけです。一応これも、使用人としてのスキルですから!」
「ほぇ~…使用人てそこまでできるようになるんですね」
「まぁ、長谷川さんにしてもらう仕事内容的には1番大切なことでもあるかと思いますよ!」
「……え?」
「あ、そういえば仕事内容をまだ伝えてませんでした!長谷川さんにしてもらう仕事内容…それはつまり、美咲お嬢様のお世話です!」
「…は?…え?……えぇぇぇぇえ!?」
「いや、そんなこと聞いてないです!てか世話って!?お嬢様って!?」
当たり前のことだが、希海はテンパっていた。使用人として働くことは覚悟していたが、その内容がお嬢様のお世話とは……1ミリも思っていなかったのである。
「では、仕事内容も教えましたし、早速お嬢様のところへ参りましょうか」
「え……?え…?いや、そういうのって女性の仕事じゃないんですかぁぁあ!?」
朝早くから屋敷中に希海の叫び声が響き渡った。
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