第63話:クジ引きの結果は……?

 という事で出口付近にあるクジ引きのブースに移動してみると、そこではプレイアブルキャラのコスプレをした店員さんが受付をしていた。


「いらっしゃいませ。こちらではコラボカフェで利用したレシートを使用して専用のクジ引きに最大三回まで挑戦する事が出来ます。早速ですが挑戦されていきますか?」

「はい、挑戦希望です、お願いします!」

「かしこまりました。それではまずはコラボカフェ内で利用したレシートを拝見させて頂けますでしょうか?」

「はい、わかりました!」


 俺とゴリさんはコラボカフェで貰ったレシートを財布から取り出していき、そのまま店員さんに渡していった。


「はい、レシートの確認が取れました。ご協力ありがとうございます。それではお客様方はそれぞれ三回までクジを引く事が出来ますので、お好きな方から順番にクジを引いていってください」

「わかりました!」


 俺もゴリさんも今日はかなり沢山の買い物をしてきたので、俺達は二人とも最大の三回までクジ引きが出来るようになっていた。


 ちなみにクジ引きの景品は1等~6等まであってハズレは無しになっている。そして確か1等の景品がハイスペックのゲーミングPC(LEPXイラスト付き)、2等の景品がゲームに登場するモデルガンのはずだ。


 まぁやっぱり希望としてはゴリさんの目当てである2等のモデルガンが当たってくれたら嬉しいんだけど……果たして結果はどうなるかな?


「それじゃあどうしよっかクロちゃん? どっちから先に引く?」

「俺はどっちでも良いっすよ。ゴリさんが先に引きたいなら後でいいですし、ゴリさんが後に引きたいなら先に引きますよ」

「うん、わかった! それじゃあアタシが先に引いても良いかな? 何となくクロちゃんの後に引くと運量が枯渇しそうだしさ」

「ぐっ……そ、それ言われるとその通り過ぎて何も言えないっす。ま、まぁわかりましたよ。それじゃあゴリさんの方からお先にどうぞ。ちゃんと良いの引き当ててくださいよー!」

「ふふん、もちろんだよー! それじゃあ行きます!」


 そう言ってゴリさんはドヤ顔をしながらクジ引きの箱の中に手を突っ込んでいき、そしてすぐに三枚のクジを箱の中から引き抜いていった。果たしてその結果は……。


「はい、確認が終わりました、6等が2枚と4等が1枚です。6等はこちらのオリジナルステッカー、4等はこちらのオリジナルキーホルダーとなっております。それではこれらの商品をお受け取りください」

「はい、ありがとうございます。うーん、まぁ流石に上位の景品は当たらないよねー」


 という事でゴリさんのクジ引きの結果は可もなく不可もなくといった感じだった。まぁでも4等のオリジナルキーホルダーはデザインが凝っていてちょっと欲しいな。


「お疲れさまです。まぁわかってはいましたけど流石に1等とか2等は確率が低すぎて当てるのは難しいっすよね」

「ちぇっ、悔しいなー。ま、でも大本命の景品はきっとクロちゃんが引き当ててくれるはずだよね?? めっちゃ期待してるからねー!」

「あはは、もうそんなの当たり前ですよ! いつも俺がソシャゲで爆死ガチャをして来たのは今日のイベントで神引きをするためだったって事を証明してやりますからね!」

「あはは、全く信用出来ないけど頑張ってくれー!」


 という事で俺はそんな事を言いながらゴリさんと交代してクジ引きの箱の前にやって来た。


「それではお客様も三回までクジを引く事が出来ますので、どうぞこちらの箱からお引きください」

「はい、わかりました。それじゃあ……行きます!」


 俺は大きな声を出して気合を入れてからクジの箱に手を突っ込んでいった。


 そして俺は直感を信じて手前にあった三枚のクジを箱から引き抜いていき、そのまま店員さんに渡していった。


「はい、それではクジの結果をこちらで確認させて頂きますね」

「はい、よろしくお願いします!」

「ふふ、さてさてー? 普段爆死しまくってる子の今日のガチャ運はどんなもんかなー? 最低保証の6等×3枚かなー??」

「そこ! 外野うるさいっすよ! まぁでも今日だけはマジで神引きするから見てい――」

「お、おめでとうございますっ! 3等が当選致しましたっ!」

「見ていて……って、えっ?」

「えっ?」


―― カランコロンッ!♪


 そう言って店員さんは金属製のベルを片手に持ちながらそれを大きく鳴らしてきた。どうやらそれは当たりが出た時の合図のようだ。


「え……って、えぇえぇえっ!? ま、マジっすか!?」

「えっ!? 3等とか凄いじゃん! いや本当に大当たりを引けるなんて凄すぎだよ! おめでとうクロちゃん!!」


 最初は何が起きたのか全くわからなかったんだけど、でも店員さんが開いたクジの紙に大きく“3等”と書かれているのを見てようやく理解する事が出来た。


「え、えっと……えっ!? ま、まじっすか! い、いや、俺……もしかしたら初めてこういうので大当たりを引けたかもしれないっす!」

「あはは、確かにアタシもクロちゃんが大当たりを引くところ初めて見たかも! それじゃあ本当に今までのクロちゃんの爆死ガチャは今日のイベントで大当たりを引くためにあったって事なのかもしれないね!」

「い、いやマジでその可能性ワンチャンありますよ! って、あ、そうだ。そういえば3等って何が貰えるんですかね?」


 そういえばクジ引きの1等と2等の景品は事前に知っていたんだけど、3等では何が貰えるのかは調べてなかった。なので俺は店員さんに3等の景品について尋ねていった。


「はい、3等の景品はこちらの“LPEXの回復缶型の抱き枕”となります」


―― ドサッ!


 そう言いながら店員さんはクジ引きの箱が置かれているテーブルの上に“回復缶”を模した大きな抱き枕をドサっと置いてきた。


「お、おぉっ……!」

「す、すごっ!? これめっちゃ回復缶じゃん!!」


 “回復缶”というのはLPEXのゲーム中で使える消費アイテムで、名前の通り銃撃戦で受けたダメージを回復する事が出来る缶の事だ。


 回復缶の見た目はジュース缶のような形をしていて、ゲーム中で使用すると缶の蓋を開けて中身の薬液をゴクゴクと一気に飲んで体力を回復するという仕様になっている。


 まぁそんなわけでLPEX内で一番使用するアイテムといっても過言ではない回復缶を模した抱き枕なので、これはLPEXをやってる全プレイヤーにとってはかなり嬉しい景品だと思う。


「って、う、うわっ! 凄いっすよゴリさん! これ枕のクッション素材もちゃんとしてますよ! ほら、低反発クッションで抱き心地凄く良いですよ!」

「え……あ、ほ、本当だっ!! こ、これ普通に買おうとするとそれなりに良いお値段がかかる枕じゃん! いやこれは本当にクロちゃんが羨ましいよ!」


 という感じで俺もゴリさんも興奮気味になりながらその回復缶型の抱き枕の感想を言い合っていった。いや、でも……。


(うーん、いやこれは確かに滅茶苦茶嬉しいんだけど……でもなぁ……)


 流石にこんな大荷物を持って家に帰るのはちょっと難しいよなぁ。だって俺ん家ってほぼ群馬だしさ……。


(うーん、どうしたもんかなぁ……って、あっ)


 そしてその時、俺はふとゴリさんの方をチラっと横目で見てみたんだけど、ゴリさんは目を輝かせながらその回復缶型の抱き枕をジっと見つめていた。その様子からしてゴリさんはこの抱き枕が欲しいと思っているようだった。


(……よし! それじゃあ少し前に生徒会用のノートパソコンを買うのを手伝って貰ったし、今回はそのお礼って事で……!)


 という事で俺の隣で目を輝かせながら抱き枕を見続けているゴリさんに向けて、俺はこんな提案をしていってみた。

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