第61話:そしていよいよコラボカフェへ!
そんな話をしてから数日後の日曜日。
今日はいよいよ七種先輩とコラボカフェに行く日だ。という事で俺は一足先に待ち合わせ場所である池袋の駅前で待機していた。
「いやー、今日は本当に楽しみだなー!」
もちろん待ち合わせ相手は七種先輩だから緊張はしているんだけど……まぁでも既に二回も七種先輩とは二人きりでお出かけをしているので、今までに比べたら多少は緊張も緩和されている。まぁやっぱり慣れるって事が一番大事だよな。
それに今日はお互いに大好きなLPEXのコラボカフェに行くという事で、もう今からその事に集中しているから今日は絶対に大丈夫だな! 先輩と二人きりになっても緊張は絶対にしないぞ!
「あっ、お待たせ! 神木君!」
「あ、はい、おはようございま……って、えっ!?」
するとそれからしばらくして後ろから七種先輩の声が聞こえてきたので、俺は後ろを振り返って挨拶をしていこうとすると……そこには懐かしの三つ編みメガネっ子姿な図書委員長スタイルの七種先輩が立っていた。
「あ……え、えっと……あ、あれ?」
「んー? ふふ、可愛いっしょー?」
俺が動揺のあまり声に詰まってしまっていると、先輩はニヤニヤと笑いながらそんな事を尋ねてきた。
という事で今日の先輩の姿は先日に会った大人っぽいカジュアル姿ではなく、ゴリさんと初めてのオフ会をした時と同じように三つ編みメガネっ子な図書委員長スタイルで俺の目の前に現れてきた。
そしてその姿はつまり……俺がめっちゃ好きな女の子スタイルなんだ。先輩もそれをわかった上でこの図書委員長スタイルでやって来たんだ。
(い、いやこんなの緊張するに決まってんじゃん!)
「え、えっと、それはその……はい、めっちゃ似合ってますけども……」
という事で俺は若干顔が赤くなりながらもそんな感想を伝えていった。やっぱり俺ってこの三つ編みメガネっ子な七種先輩に滅法弱いのかもしれないな。だって凄く似合ってるんだもん……。
「ふふ、そっかそっかー! それなら良かったよ! よし、それじゃあ早速コラボカフェに行こうか!」
「え……? あ、は、はい、わかりました!」
七種先輩は俺の感想を聞いて満足そうに頷いてからそう言ってきた。という事で俺も気を取り直して顔をパンパンっと思い切り叩いてから先輩の後について行った。
◇◇◇◇
それから数分後。
俺達は目的地であるLPEXのコラボカフェへと到着した。そして受付を済まして早速コラボカフェの中へと入っていった。
「お、おぉ……!」
「こ、これは……すごいっすね……!」
コラボカフェの店内に入ってみるとすぐに俺達は感嘆の声を漏らしていった。
店の内装はゲームの雰囲気をしっかりと忠実に再現しており、店員さんも全員が完成度の高いキャラのコスプレをしている。小物や装飾品なども凄く完成度が高くてビックリしてしまった。
さらに運ばれている料理や飲み物などもゲームに登場するキャラの好物で統一されていて、何というか至る所でLPEX愛を感じる事の出来る素晴らしいコラボカフェになっていた。
「こ、これは凄すぎだよね……って、あっ! ちょ、ちょっとアレ見てよ! クロちゃん!!」
「え? あ、あれって何で……お、おぉっ!」
唐突に七種先輩は興奮気味に俺の背中を叩いてとある方向に指を差してきた。
俺は何だろうと思いながらすぐに先輩が指差した方向に視線を送ってみると……そこにはゲーム内で使用出来る数多くの銃武器が置かれていた。
もちろん実物ではなくモデルガンなんだけど、それでも凄く精巧に作られた銃武器になっていた。
「す、すごっ! あれってゲーム中で使える銃ですよね! アサルトライフルにサブマシンガン、スナイパーライフルまで……って、あっ! あそこ見てくださいよ! あれゴリさんが一番好きなウィンチェスター式のショットガンじゃないっすか?」
「えっ!? ほ、本当にっ!? お……おぉおっ……! ほ、ほんまやぁ……!」
先輩はいつもゲーム内で頻繁に使用している武器を見つける事が出来てウルウルと涙目になりながらも感動していっていた。
そして俺もそんな感動している先輩の隣に立ちながらそれらの武器達をじっと眺めていった。
「いやー、これ本当にめっちゃ精巧に作られてますね! しかも多分これ材質プラスチックとかじゃなくてちゃんとした金属製ですよ!」
「うん、そうだよね! いやこれだけ精巧に作ってくれるなんてスタッフさんLPEX愛に溢れすぎだよ……って、あっ! ちょ、ちょっと待ってよクロちゃん! あっちに写真撮影ブースがあるらしいよ! お好きな武器を手に取ってご自由に写真をお撮りください……だってさ!」
「え、マジっすか? って、あ、本当だ! はは、そしたら先輩の相棒武器と一緒に写真撮れますね!」
俺は笑いながらそう言ってみると、先輩は今日一番の嬉しそうな笑みを浮かべてきた。
「う、うん! そ、それじゃあちょっと写真撮影をクロちゃんにお願いしても良いかな?」
「はい、もちろん大丈夫ですよ! めっちゃ良い写真撮ってあげますよ!」
俺はそんな先輩の頼みを聞いて二つ返事でオッケーを出した。
もちろん普段の俺なら大好きな先輩の写真を撮るという事で最大級に緊張してしまう場面なんだろうけど、でも今の俺はそんな事に緊張したり照れたりするという事はなかった。
(はは、だってさ、やっぱり好きな事を共有出来る友達と遊べるのって……最高に楽しい事だもん!)
という事で俺は大好きな七種先輩と……じゃなかった。数年来の悪友であるゴリさんと一緒になってこの場を全力で楽しんでいく事にした。
「うん! ありがとうクロちゃん! よ、よし、それじゃあ早速相棒武器を手に取って……お、おぉ……!」
そう言ってゴリさんは大好きなウィンチェスター式ショットガンを手に持っていった。そしてその銃身を眺めながら手に持ってみた感想を伝えてきてくれた。
「す、凄いよこれっ! 金属製で精巧に出来てるからめっちゃ重そうに見えたんだけど、でも実際にはだいぶ軽くて持ちやすいよ! これちゃんと女の子でも持ちやすいように設計してくれてるね!」
「へぇ、そうなんですか? はは、流石は超人気ゲームっすね! ちゃんと色々な人達に配慮して持ちやすいように作ってくれたんですね」
ちゃんとゴリさんのような華奢な女の子でも持ちやすいように軽く設計してくれてるなんて運営さんの配慮が素晴らしすぎだよ。これはこれからもしっかりと課金して恩返しをしなきゃだな!
「うん、凄く完璧な配慮で感動しちゃったよ! いやーでもさ、これだけ銃身が軽いんならさ……私でもスピンコック出来ると思うんだけど、それやったら流石に怒られるよね?」
「あははーって、えっ!? い、いやそれは確実に怒られるんで絶対に駄目っすよ! ほら、乱雑に扱わないでくださいって注意書きにも書いてありますからね!」
スピンコックというのはあれだ。ターミ〇ーターでシュワちゃんがハーレーに跨りながらショットガンをクルっと一回転させて弾をリロードするあのアクションの事だ。
ゴリさんはシュワちゃんとあの映画が大好きだからきっとシュワちゃんのモノマネをしたいんだろうけど、でも流石に撮影ブースでそんなアクションをやるのは危険すぎるので俺はダメだと言って全力で制止していった。
さ、流石に銃を壊しちゃう可能性のある動作をさせるわけにはいかないしね……。
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