第55話:毎日勉強してて疲れちゃったなぁ(千紗子視点)

 とある日の夜。


「あ゛ぁ゛~、今日も疲れたなぁ……」


 私は自分の部屋の机の前で低い唸り声を上げながら背伸びをしていった。


 ここ最近はずっと図書館で受験勉強をしていた私だったんだけど、今日は図書館が休館日だったので今日は自宅で勉強をする事にした。


「ふぅ……よし、ちょっとだけ休憩しようっと」


 という事で私はほっと一息つきながら、机の目の前に広がっているパソコンを起動してネットサーフィンを始めていった。まぁ今日の受験勉強も結構捗った方だし、多少の息抜きくらいは別に良いよね?


「ふんふんふ~ん♪ 何か面白そうなアプデ情報とかないかなー?」


 私は鼻歌を歌いながら普段よくやってるFPSゲームLEPXの攻略サイトを開いて最新のゲーム情報について眺めていった。実はちょっと前にこのゲームに最新のアップデートが入ったんだ。


 今回のアプデ調整で新キャラや新武器が追加されただけじゃなくて、既存のキャラや武器にも沢山の上方・下方修正が入ったので、今シーズンの環境はガラッと変わってしまいそうな感じだ。


「うーん、これはもうすっごくワクワクしちゃうね!」


 まぁでも受験生にはプレイする時間なんて全然ないんだけどさ。


 それでもゲームの最新情報だけはちゃんと頭に入れておきたかったので、私は空き時間を見つけてはこうやって攻略サイトや各種SNSをちょこちょこと覗いていた。


 それにゲームが全然出来ない状況だとしても、こうやって情報を調べるだけでも十分楽しいしね!


「んー、でも私がメインで使ってるキャラに弱体化ナーフ入っちゃったのは結構ショックだなぁ……それに私が愛用してた武器も軒並み弱体化が入っちゃってるし、今シーズンからは武器構成とか色々と変えていかないと駄目だなぁ……」


 でも私がよく愛用していたキャラや武器が軒並み弱体化を食らってしまったのはちょっとショックだった。


「……あっ! でもショットガンに軒並み上方修正入ってるじゃん! これはスナイパーライフルで陰キャ戦法してないでインファイトで戦えって運営からのお達しなのかな??」


 だけどその代わりに私の一番大好きな武器であるウィンチェスター型のショットガンに強化調整が入ってくれているのはかなり嬉しかった。私はゲーム内ではそのショットガンを割と愛用していたからだ。


 まぁでも前環境だとゲーム内では中~遠距離武器が最強だったので、ショットガンのような超々近距離部というのはかなり弱い部類の武器だったんだ。だから私は完全なる趣味で時々ショットガンを担いでいたというわけだ。


 ちなみに何で私がそのショットガンが一番好きなのかというと、単純に私がターミネ〇ターとシュワちゃんが大好きだからというだけの理由だ。まぁ人が好きになる理由なんて大抵そんなミーハーな理由だよね。


 まぁそんなわけでゲーム内だとショットガン自体がだいぶ弱い性能だったから今まで誰にも使われない悲しい武器だったんだけど……でも今回のアプデ調整で使えるようになったのであれば、これからはショットガンを積極的に担いで持ってインファイトで遊ぶというのもアリだね?


「よし! それじゃあこれからは積極的にショットガンを担いでシュワちゃんごっこでもしようかな?」


―― いやこれ以上脳筋ゴリラになるの止めてくれって!!


 私がそんな事を思っていたら、ふと頭の中にそんなツッコミを入れる声が聞こえてきたような気がした。


「……ぷ、ぷはは! うん、絶対にあの子はそう言ってきそうだなー!」


 いやもちろんその頭の中に聞こえてきた声というのは私の妄想なんだけど、でもあの子が居たら確実にそんなツッコミを入れて来てただろう。ま、そうツッコまれたとしても私はインファイトを辞めるつもりなんて無いんだけどさ!


「でもこんなに色々と調べてたらゲームしたい欲がどんどんと溢れ出てきちゃってるよ……うーん、でもここ最近はちゃんと勉強してたしさ……うん、たまには息抜きをするのも悪くないよね?」


 普段から真面目に勉強をしてきた甲斐もあって、現状の受験対策は割と順調に進んでいっていた。まぁ何だかんだ言っても私は真面目さが売りの清楚系JKなんでね。


 だから今週の土日のどちらかは勉強を完全にお休みにして日中はひたすらとゲームをするのもアリかもしれないよね? いや、というかそもそもゲームをずっと封印した状態で受験当日を迎えるなんて私には絶対無理だし。


「……よし! それじゃあ今週はクロちゃんを誘ってペクスか格ゲーでもしようかな!」


 私はそう思って早速、神木君クロちゃんに“土日のどっちか遊ぼう”と通話・チャットアプリ(通称:ドスコード)からメッセージを送ろうとしたんだけど……でも神木君はオフライン状態になっていた。


「……あらま? こんな夜の楽しい時間帯なのにあの子がオンラインじゃないなんて珍しいな。あ、もしかしてバイト中かな?」


 普段のクロちゃんならこの時間帯にはオンライン状態になっていつもゲームをしていたはずなんだけど……でもまだオンラインになってないという事は今日はバイトの日なのかもしれないな。


「……あ、でもそっか、そういえばクロちゃんって神木君なんだよね。という事は神木君ってあのハンバーガー屋さんでアルバイトしてるんだね」


 神木君とはアルバイトについての話は一度もした事はなかったけど、でもクロちゃんとはそんな話を何度もした事があった。


 そしてその時にクロちゃんが某ファーストフード店でアルバイトをしてる事を教えてもらったんだよね。という事はつまり神木君はその某ファーストフード店でアルバイトをしてるって事になるよね?


「うーん、もしもバイト先が近かったら私も遊びに行くんだけどな。ふふ、それでスマイルとか無料で貰ったりとかするんだけどなー」


 私は仲の良い友達とかのバイト先にはついつい遊びに行ってみたくなっちゃうんだよね。友達が一生懸命に頑張っている姿を見るのは凄く好きだし、応援したくもなるからさ。


 あとは仲の良い友達のバイト先に急に来店してみて相手をビックリさせるってのも結構好きなんだよねぇ……。


 ほら、何というかさ、仲の良い友達が急に現れた私に対して他人行儀になったり、ぎこちない感じで接客してくるのを見るのがたまらなく好きなんだよねぇ……ふふふ……。


 まぁでも実際にそんなノリで早紀のバイト先にニヤニヤしながら急に来店しに行った事もあるんだけど、まぁ当然だけど次の日に早紀には学校で思いっきりデコピンされました……。

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