第19話:今日もゴリさんに格ゲーでボコボコにされていく
ゴリさんとネット対戦を始めて数時間が経過したけど今日も俺の惨敗だった。 やはり俺とゴリさんとの経験値差はまだまだ広いという事を改めて理解する一日になった。
「っちぇー、全然駄目でしたね。 結構練習したつもりだったんだけどなー」
『いや、前回の糞雑魚ナメクジムーブに比べたら、今日はちゃんと人間の動きしてたよ?』
「え、本当っすか? ようやく俺も人間になれましたか?」
『うん、まぁまだ赤ちゃんレベルですけどね』
「いやナメクジから赤ちゃんに昇格したんだから、後は大人に成長するだけなんで余裕ですわ!」
『その考え方は強いなw うーん、でもクロちゃんが使ってるそのキャラって対空がちょっと弱いからなー』
「え、駄目っすか?」
『いや駄目じゃないけど、クロちゃんの使ってるキャラってそこまで初心者向けなキャラじゃないからさー。 だからアタシとそこそこの勝負が出来るようになるにはまだまだ時間はかかると思うよ?』
「まじっすか? ちなみに俺がゴリさんとそこそこの勝負が出来るようになるにはあとどれくらい時間かかりそうですかね?」
『んー、練習の努力は見れたから……あと半年くらい修行すれば良い感じになるんじゃない?』
「あ、あと半年!?」
『おっとー? も、もしかしてクロちゃん尻尾を巻いて逃げるんですかー??ww』
そう言いながらゴリさんはあははと笑いながら俺の事を煽ってきた。
「いやそんなわけw たったの半年で良いとか余裕過ぎて逆に笑っちゃいましたわww ゴリさんが勉強で忙しい間に必ず捲るんで対戦よろしゃす!」
『あははっ! 本当にクロちゃんは根性あるよねー! そういう所だけは見習いたいもんだよ』
「それ褒められてるのかよくわかんないんすけど」
『いやいやめっちゃ褒めてるって! 普通の人なら“二度とやらんわこんなクソゲー”ってコントローラーをブン投げてるでしょw ……あ、やっぱりクロちゃんってマゾなん??』
「なんでやねん!」
『あはは、やっぱり違うかーw』
何度も言ってるけど俺はマゾじゃ無いからなっ!! でもゴリさんは絶対にドエスだと思うわ。
『いやでもさー、クロちゃんのそういう不屈の心というかチャレンジ精神を持ってるのは本当に偉いとアタシは思ってるのよ』
「え? えぇっと、まぁそう言って貰えるのなら、ありがとうございます?」
『まぁでもそういうチャレンジ精神をネトゲの世界だけじゃなくてリアルでも活かしていったらいいのになーってお姉さんは思う日々ですけど?』
「余計なお世話っすよ!」
『いやでも本当の事じゃんw 最近も何かヘタレた事言ってたじゃんねw』
「ぐ、ぐぬぬ……」
そう言ってゴリさんは前回の俺と先輩の話を例に上げてくる。 いやまぁヘタレた事を言ってたのは事実だから何も言い返せないんですけど。
「……あ、でも! ゴリさんがそういう事を何度も言ってくるから、俺もちょっとは頑張ろうかなーって思うようになりましたよ」
『んー? 頑張ろうって何を??』
「いやえっと、何て言うか……まぁ、その、せ、青春をちょっと頑張りたいなと」
『え!? 本当に!?』
「え、そんなビックリする事じゃないでしょ!?」
『いやビックリするでしょ! クロちゃんの成長が見られてお姉さん嬉しくて泣きそうだよ! あ、どうする? とりあえずお赤飯炊こうか?? あ、でもすぐ振られるんだから要らないかww』
「色々と判断が早すぎる!」
ゴリさんの判断が早すぎて俺のツッコミが追いつかないんだが!? この判断の早さには天狗のお面をかぶったお師匠様もニッコリだろうよ。
『あはは、それでー? 告白の相手ってクロちゃんの大好きな先輩さんでしょ? いつ告るの?』
「い、いや、それはだいぶ先になるかと」
『おい!! 頑張るって言っといてヘタレのままじゃんか!w』
「いやいや重要なのは告白だけじゃないんすよ! それに至るまでの過程だってめっちゃ大事でしょ?」
『んーまぁ確かにそれはそう』
「でしょ? それにゴリさんも前にも言ってたじゃないっすか。 知らん人から告白されても困るって!」
『それは絶対にそう』
「ですよね! だから、まぁしばらくの間は先輩への好感度を上げていきたいなーって思っている感じなんですわ」
『え、スタートそこから!? ク、クロちゃん一体いつまで先延ばしにする気なん? 時間って無限じゃないんだよ??』
「い、いやゴリさんの言いたい事は十分わかってるんですけど……でも俺はこれから行動しようと決めたばかりなんですよ! だ、だからまぁその、これから頑張っていくんで、もう少しだけ温かく見守って頂ければなと……!」
今日だってゴリさんが俺に言った事を思い出したからこそ、七種先輩に声をかけれたわけだし。 でも七種先輩に“ううん、大丈夫だよ”って言われた時は少しばかり心が折れそうになったんですけども。
『うーん、まぁどんな事でも頑張るっていうのは良い事だからねー。 あ、でもタイムリミットはもう長くないよ? 先輩さんと学校で会える日なんてあと数ヶ月くらいじゃないの?』
「う……は、はい、それはわかってます……」
『ちゃんとそれを理解してるなら良し! それで、実際にその先輩さんと会える期間ってあとどれくらい残ってるの?』
「そ、そっすね。 三年生は後期になったら自由登校になっちゃうし、先輩と会って話が出来るのはあと半年くらいかもっすね……」
『ふぅん、あと半年かー、ってあはは! それだとクロちゃんが告白するよりもさー、アタシに格ゲーで勝てるようになるのが先かもねぇww』
「はぁ!? 何言ってんすか! ゴリさんをボコボコにすんのに半年もかからないんで安心してさっさと負けてください! ってか俺だってゴリさんをボコボコにしなきゃ前に進めないんでね!」
『あははww 言うねぇクロちゃん! そんなアツイ事を言われちゃったらさー、お姉さんも本気でクロちゃんの事を返り討ちにしてやるから覚悟しときなよww』
「あはは、望むところですよ!」
そう言って俺とゴリさんは笑い合いながら今日も仲良く対戦を続けていった。
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