第17話:七種先輩と一緒に下校していく
先輩と一緒にやっていた打ち込み作業は20分程度で終了した。 しっかりと作業分担をした事で思いのほか早く終わらせる事が出来た。
「今日はありがとうね」
「い、いえ、全然大丈夫です!」
という事で先ほどの約束通り、今の俺は七種先輩と二人で下校している所だった。
「はい、じゃあこれ。 手伝ってくれたお礼だよ」
「あ、は、はい、ありがとうございます!」
「あはは、ありがとうは私のセリフだよ。 ありがとね、神木君」
そしてその下校途中でコンビニに立ち寄り、七種先輩からお礼という事で肉まんを奢ってもらった所だ。 俺は七種先輩から手渡された肉まんを受け取って感謝を伝えた。
その後は七種先輩と一緒に肉まんを食べつつ軽く雑談をしながら下校していった。
(先輩と一緒に帰るなんて夢みたいだなぁ)
七種先輩とは去年度も一緒に生徒会として仕事をしていた仲間ではあるけど、そもそも今まではそんなに七種先輩と話す機会は無かった。
それは何でかというと、去年の七種先輩の役割は“書記”ではなくて“生徒会副会長”だったからだ。 決して書記が忙しくないという訳じゃないんだけど、それでも会長と副会長の方がかなり忙しそうに見えた。
そんな忙しそうにしていた七種先輩を見てきたからこそ、もし何か手伝える事があるなら積極的に手伝おうと思っていた。 だから今日も先輩の代わりを志願したわけだし。
(いやまぁもちろん手伝おうとした理由はそれだけじゃないんだけどさ)
つい最近とあるゲーム仲間が、“恥ずかしがってないで少しくらい頑張れよ!”って喝を入れてくれたんだ。 だからまぁ、なんというか……俺も出来るだけ頑張ってみようかなと思うようになったわけで。
ということで今日も、もしかしたら七種先輩と仲良く出来るチャンスがあるかもっていう邪な気持ちが多少はあったんだけど……まぁでもそれくらいの夢は見てもいいだろ?
それに勇気を出して声をかけたおかげで、初めて七種先輩と二人きりで下校出来たんだから、ゴリさんには感謝してもしきれないな。
(うん、今度通話する時にお礼いわなきゃな)
俺は脳内のゴリさんにとりあえずの感謝を伝えながら、七種先輩との雑談を続けていった。
「あ、そういえばさ、神木君は何で生徒会に入ろうとしたの?」
「え? 生徒会に入った理由ですか?」
「うん、そうそう」
七種先輩は肉まんをモグモグと食べながら俺にそう尋ねてきた。 俺が生徒会に入った理由……まぁそんなのはもちろん決まってるわけで。
「ま、まぁアレですよ、普通に内申点が上がるから良さそうかなって思ってです」
「あぁ、なるほど! それは生徒会に入る人あるあるだねー、あはは」
「そ、そうなんですよ、あははっ」
嘘である。 この男、本当は全く違う理由で生徒会に入ったのに、その事を先輩に言うつもりは一切無いのである。 いやでも正直内申点もちょっとくらいは上がるかなーっていう打算的な事も少しは考えたけどさ。 でも本当の理由は当然……
(いや本人相手にそれは言えないだろ!)
俺が生徒会に入ろうとしたきっかけの大部分はもちろん七種先輩の存在だった。
当時の生徒会に所属していた七種先輩と少しでもお近づきになれないかなーっていう邪な気持ちで、当時一年生だった俺は生徒会に入る事を決めた。 そしてその後すぐに俺は生徒会役員募集のポスターを見て、そのまま生徒会に入ったのであった。
まぁそんな邪な気持ちで生徒会に入ったはいいんだけど、当時副会長だった七種先輩はかなり忙しくしていたので、目当ての先輩とは全然交流は持てなかったんだけどさ。
それでも今の生徒会での活動はそれなりに楽しんでいるし、今の俺としては普通に満足している日々だった。
(はは、そんな事言ってたらゴリさんに怒られそうだな)
今までの出来事を思い出していると、何故かゴリさんの事を思い出して少しだけ笑ってしまった。
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