第5話:友達のリア充トークを聞いていく(千紗子視点)

(千紗子視点)


「そういえば早紀は山田君とは普段何してるの? デートとか何処行ったりするの?」


 山田君とは早紀の彼氏の事だ。


 私達と同じ三年生の男子生徒なんだけど、私達とはクラスが違うからあまり交流はないのでどんな人かはあまり知らない。まぁ早紀が付き合ってるって事は普通に良い男子なんだろうな。


 それに二年生の頃は早紀と山田君はほぼ毎日一緒にお昼ご飯を食べてた時期もあったし昔から仲が良さそうで非常に羨ましい限りだ。


「うーん、今はお互いに受験が控えてるし最近は一緒に勉強会してるくらいかな」

「ほうほう、それでそれで? その勉強会とやらは何処でやってるの?」

「え? ま、まぁ学校終わりの空き教室とか図書館でとか……あとは休みの日はどっちかの家とかでだけど」

「おー、お家デートってやつだねぇ」

「べ、別にデートって程じゃないけど。 勉強しかしてない訳だし」


 早紀は顔を赤らめながら自分の横髪を指先で軽く弄くっていた。 これは早紀が照れてる時のよくやる仕草なんだけど可愛らしくて良いよね。


「それだけでも全然いいでしょ。 休みの日に彼氏と一緒に過ごせるなんて幸せそうで羨ましいよ。 あーあ、私もデートとかしてみたかったなー」

「あはは、千紗って見た目は凄い大人っぽいのに、中身は何だか乙女っぽい所あるよね」

「乙女っぽいというか純度100%乙女なんですけど」


 私は不貞腐れながら頬を膨らませた。 すると早紀は笑いながら私の頬を指でつんつんと触ってきた。


「でもそんなに羨ましいんだったら、千紗も彼氏作ったらみたら? 千紗の欲求不満も解消されるんじゃない?」

「誰が欲求不満よ誰が」

「え? だからエロ漫画なんて読んでたんじゃないの?」

「違うわい!」

「はは、まぁそれは冗談だけど。 でも千紗なら今からでも彼氏くらいすぐに作れるんじゃない? 文化祭のミスコンでぶっちぎりの1位取ってたんだし、男子から引く手あまたでしょ?」

「いやそうは言っても私だって受験生だからね? 今から彼氏作っても全然遊べないでしょ」

「それはそう」


 私がそう言うと早紀は深く頷いてきた。 やはり彼氏持ちの早紀はその事を身を持って体験しているという事なんだろうな。 早く受験が終わって彼氏さんと沢山遊べるように私は祈っております。


「まぁ、もし千紗にも彼氏が出来たら報告してよね。 ちゃんと祝ってあげるからさ」

「お、それは嬉しいなー」

「あ、でもそうは言っても変な男にだけは絶対に引っかからないでよ。 街中でナンパとかに声かけられても付いて行っちゃ駄目だからね」

「あはは、それは大丈夫だよ」

「本当かなー?」

「私だって全然知らない人と付き合う気はないからね、流石に怖いしさ。 それに、ちゃんと友達から始めて仲良くなってからじゃないと彼氏にするつもりは無いからね」

「あ、うん、それなら安心だよ」


 私が笑いながらそう言うと早紀も笑いながらそう言ってくれた。 いつになるかわからないけど、親友に彼氏が出来たと報告出来る日がいつか来たらいいな。


 そしてそこで会話がちょうど途切れたので、私はスマホを閉じてお茶を飲みながら一息ついた。 しかし私はお茶を飲んでる時にふと先ほどの会話の内容を思い出して一言だけ小さく呟いた。


「……んーでもそっかぁ、13センチかー」

「ぶっ、唐突に何言ってんのよ?」

「いや何かずっと気になっちゃってさ。 13センチってどれくらいなのかなー?」


 私は自分の指を眺めながらそう言っていると、早紀は少しあきれ顔をしながら話しかけてきた。


「いや別にそんなに気にしないでも……あ、ちょうどそこに定規置いてあるから良かったら使ってみたら? はいこれ」

「お、ありがとー! どれどれ……って、えっ!? じゅ、じゅうさんセンチって……は、はぁ!? こんなん絶対に入る訳ないじゃん!!」


 私は早紀から渡された定規に早速手を当ててみて驚愕した。 理由はもちろん想像よりも大きかったからだ。


「え? 早紀ってその……は、初めての時ってどうだったの?」

「え……えっ!? い、いや、それはその……ま、まだアイツとはそんな経験はしてないというか、とても清いお付き合いをしているというか――」

「やっぱり痛かったの? 血とかは沢山出た? 涙とかは出なかった?」

「だ、だからまだそんな事してないわよっ! そんな変な事を聞くんじゃない!」

「あいたっ!」


 私が驚愕しながらそう言っていくと、早紀は顔を赤くしながら私の額に軽くデコピンをしてきた。

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