第6話:今日も楽しくゴリさんとペクスで遊んでいく

 ソシャゲのイベントも終わって数日後のとある夜。


「誰かいるかな?」


 俺はパソコンに入っている通話アプリを立ち上げて、オンライン状態になっているフレンドを確認した。 するとゴリさんがオンライン状態になっていたので早速チャットを飛ばしてみた。


―― 暇だったらLPEXやりませんか? ――

―― いいよー、通話いける? ――

―― いつでもいけます! ――

―― おk ちょっと飲み物取ってくるから少しだけ待って ――

―― わかりましたー ――


 “LPEX(通称ペクス)”とは巷で高い人気を誇っている3人組のFPSゲームであり、ゴリさんと“#FPSフレンド募集”のタグで知り合うきっかけとなったゲームでもある。


 ちなみにプレイを始めた時期はゴリさんとほぼ同じタイミングだったはずなんだけど、このゲームの上手さも圧倒的にゴリさん>>俺だ。


 いやこの人のゲームセンスは異常に凄い。 だってどんなゲームをやらしてもすぐに上手くなるんだから、本当にセンスの塊過ぎて羨ましい限りだ。 まぁ先日の格ゲーとは違ってこちらは協力ゲームだからゴリさんの強さは非常に頼りになってるのでとてもありがたい。


 ……ってゴリさんに言ってみたら「ド下手くそな相方がいるから上手くなっただけだよww」って返された。 コイツほんま格ゲーで絶対にしばき倒すからな。


―― お待たせー、通話いくよー ――

―― 了解っすー ――


 届いたチャットにそう返信するとすぐにゴリさんから個別通話の着信が届いたので、俺は通話に返答して通話を開始した。


「おつかれっすー」

『ういーっす。 今日は他にインしてる人いないね。 どする? テキトーに野良入れてやる?』

「そっすね、そんな感じでいきましょう」

『ん、りょかい』


 そう言うとゴリさんからゲームプレイの招待が届いた。 俺は早速それを受け取ってゲームを開始した。 対戦のマッチングが始まるまで時間が少しかかるので、その間はゴリさんと雑談をする事にした。


「そういえば」

『んー? どうしたん?』

「いや、そういえばゴリさん最近ゲーム配信してないっすよね。 リアル忙しい感じですか?」


 さっきも言ったけどゴリさんはゲームセンスがとてもある人だったので、実は配信サイトのToutubeでゲーム配信をちょこちょこやっていたりもした。 確かゴリさんのゲーム配信は同接1000人くらいはいっていたと思う。 個人生主でそれだけの人を呼び込めるのは普通に凄い。


『あー、まぁそりゃあアタシだって高三だからね。 進路考えたり勉強したり色々と大変なのよ』

「その割には毎日俺とかとゲームやってますけどね」

『これがアタシの唯一の趣味なんだから取り上げないでよ。 アタシ死ぬよ?』

「あはは、どんだけゲーム好きなんすか。 まぁでも確かに受験勉強ばっかりで疲れてるだろうし息抜きは大事っすよね」

『そうそう。 クロちゃんをボコボコにするのが一番のストレス解消になるからね』

「いやぁ、残念でしたねー。 このゲームは協力対戦だからゴリさん俺の事を倒せなくてww」

『いやぁ、そんな事ないよー! クロちゃんに敵の全ヘイトを向かわせてるから大丈夫! いつもアタシのキルポのためにクロちゃん真っ先に死んでくれてありがとう(⋈◍>◡<◍)。✧♡』

「ぐ、ぐぬぬ……」


 “テメェいつも真っ先に死んでんじゃねぇよカス!”と“テメェのキルポいつも貰ってすまんなぁww”の二つの煽りを一気に貰って俺は憤死しかけた。


『まぁ流石に受験が近くなったらしばらくはゲームやれなくなると思うし、それまではよろしくね』

「あぁ、了解っす。 ちなみにゴリさんって学力どれくらいなんですか?」

『うーん、それなりかなー。 まぁでも推薦狙ってるし、そこそこ頑張ってはいる方だと思うよ』

「へー、それは凄いっすね!」

『おや、クロちゃんが信じてくれるなんて意外だねー? いつもなら“勉強出来るなんてそんなの嘘だろ!”ってほざいてくるのにw』

「いや俺をどんな奴だと思ってんすか!? ゴリさんと一緒にゲームやってると“あ、この人頭の回転めっちゃ速いなー”って思う事結構多いっすもん。 だから勉強とかも出来るタイプだって何となく思ってましたからね」


 どんなゲームでもすぐにコツを掴んで上手くなるタイプの人って基本的に頭良いタイプの人が多いしね。 だからゴリさんの事は普通に勉強出来る人なんだろうなーとは何となく思っていた。 まぁでも現実のゴリさんも素行は悪そうだから、内申点低くなってそうな気もするけどそれは言わないでおいとく。


『あらま、クロちゃんが素直に褒めてくるなんて本当に珍しいじゃんー。 んで? そんなクロちゃんは学校の成績はどんなもんなの?』

「俺は平均っすねー。 可もなく不可もなくって感じっす」

『あはは、それはそれでクロちゃんっぽいなー。 あ、お姉さんで良ければ、いつでもクロちゃんの勉強見てあげるよー?』

「あ、それは癪なんで結構です」

『癪って何でよ!?』


 そんな感じで俺達は対戦がマッチするまでの間雑談を続けていった。


……

……

……


「ちょいゴリさん! なんでカバーに来てくれないんすか!」

『別ッチいるのにテメェ何一人で突っ込んでるんだよバカカス死ね! 絶対に生きて戻ってこい!じゃなきゃ殺す!』

「要求が無茶すぎる!?」


 そしていつも通り喧嘩しながらの楽しいペクスが始まりましたとさ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る