蝉時雨の息もできないような、けだるい暑さ。その中で、すごく言葉の意味がわかりにくい女性「八尾さん」に翻弄されます。言葉、行動に一流の毒。それとも気遣い?読者は蝉時雨に「浮かされて」濁流のように「沈まされ」、読了後、蝉時雨のむこうで、ふっと目を細めて嗤う「八尾さん」の姿を垣間見たような気分にさせられます。是非一読を。