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今日は久しぶりに大学の先輩の館山さんに会いに行った。
館山さんの彼女はジャズピアニストのゆうきさんだ。
ゆうきさんもライブがなくなり館山さんと居る時間が長くなったようだ。
今日も一緒に居た。
前に来た事があるので部屋の間取りとかはよく知っているけど、
ゆうきさんと付き合ってからは来たことがなかった。
だいぶ雰囲気が違った。
モノクロの渋い感じになっている。
「なんか館山さんの部屋じゃないみたい。」
「みおの趣味だよ。」
みおというのはゆうきさんの下の名前。
「ふたりのでしょ。」とゆうきさん。
「いい感じですね。」と僕。
最近のコロナ状況とかライブ事情とかも話した。
すこしづつだけどライブはしていると言う。
配信をすることも始めたという。
時間があるからいっぱい曲を作っているとも言った。
「いいですね。聴きたいです。」
「歌詞付きなのも書いたの。あさきちゃんに歌ってもらいたいと思って。」
「それは楽しみです。」
ミュージシャンもお店もみんな厳しい状況に置かれている。
いつになったら自由にライブが行われるようになるのだろう。
「卒業したんだろ。」
「はい。もうめっちゃへこんでました。」
「最後に会えなかったのか。」
「そうなんです。全部中止になって。だからなおさら落ち込みました。」
「延期すればよかったのに。」とゆうきさん。
「僕もそう思いましたけど、先行きわからないからそうもいかなかったんだと思います。」
ゆうきさんがコーヒーを淹れてくれた。
かぐわしい香りが部屋に漂った。
この部屋に合ってるなあ。
「あの子には彼氏が居たのか。」
「そうでした。」
「ちゃんと告ったのか。えらいじゃんか。」
「その日はなんかそんな気分でした。」
ゆうきさんがおかしそうに笑っている。
「まあ新しい子を見つけるんだな。どっちも。」
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