第2話 株式会社【冒険者ギルド】

西之島に続き、新たなダンジョンが出来た。

場所は東京都荒川河川敷。


直ぐ様、政府は警察を派遣し封鎖を命じるが・・・

尽く失敗に終わる。

理由は、住民の妨害である・・・


そもそもの始まりは、一人のホームレスだった。

この、ホームレスが偶々、ダンジョンを発見し恐る恐る中に入った。

そこで、ギルドカードを発行して、ダンジョンにもぐった。

(チュートリアルダンジョンに付き、強制的にギルドカードが、発行されます)


そして、宝箱を発見。

恐る恐る、宝箱を開けるとそこには、箱一杯の金貨、銀貨が詰まっていた。

ホームレスは、直ぐ様、宝箱を地上に持ち帰った。


Side ホームレス


ワシの人生は波乱万丈と言っても過言ではない位に落ち着きがない人生じゃ・・・

例えば、一流企業まで上り詰めたワシの会社は、景気の煽りを受けて呆気なく倒産。

そして、このまま多額の負債を背負って生きていくのかと思ってたら、友人知人がワシの為に負債を肩替わりしてくれて、何とか普通の生活が出来るまでに戻った。


だが、その生活も長くは続かなかった。


空き巣にあったからである、空き巣は、ワシから何もかも奪っていった。

奴等は、金目の物を取ると、最後に証拠隠滅の為に、家に火を放ち逃げおった・・・

何もかもなくなったワシは、ホームレスになるしかなかった。


そして、しばらくホームレス生活をしていた・・・

同じ境遇の仲間も出来て、充実した生活を送っていた。

ダンジョンを見つけるまでは・・・


そして、そこでワシは、またもや大金を手に入れてしまった。

そこで、ワシは思った、ワシには、平凡な生活など到底無理なのだと・・・

そう思ったら、行動は早かった。

あれほど、知人に迷惑をかけたくなく、ホームレスまで落ちた、ワシだが気が付いたら、知人に電話をしていた。


***


「本当に無事で良かった」


今ワシは、ホームレスになる前に世話していた弟子の様な者に会いに来ていた。

当初は、死ぬまで会わぬと、思うておったが、ダンジョンで見つけた宝箱の中身の事で相談しに来た。

なにぶん中身が中身じゃ、信用をおける者に相談するほかなかった。


「心配をかけた様じゃのう、それに関しては、すまなかった」

「ちょっ!あ、頭をあげてください」

「そうは、いかんよ・・・それに、ちっと頼みたい事もあるんじゃ」


そう言い、懐から一枚のカードをだして、テーブルの上におく・・・

そのまま、手品を見せるかのようにカードを実物化させる。


「わっ!な、なんですかこれ?」

「驚くには、まだ早いのう~」


わしは、おもむろに、宝箱を開け中身を見せる


「お主、ダンジョンを知っとるか?」

「あ、はい」

「なら、話は早い!これを買い取ってくれんかのう」


最初は驚いていたが、直ぐ様正気に戻り、二つ返事で買い取ってくれた・・・


そして、ワシは手に入れた資金を元手に、もう一度会社を立ち上げた。

株式会社【冒険者ギルド】


斯くしてここに、非公式だが、日本初の冒険者ギルドが誕生したのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る