星の卒業式

「うっ、えっぐ」

私は今、卒業という悲しみと喜びが入り交じった式が終わって、教室で他にはないくらい生徒に寄り添う担任と抱き合って泣いていた。それは勿論別れたくないって気持ちと、もう関わり合えない事実が辛すぎて泣いていた。他の生徒も泣いており、逆に泣かない方がおかしいくらいだった。先生は、プレゼントであげたクラス全員のサインを書いたハッピが濡れるくらい泣きまくっていた。先生は普段から学校に来てない生徒がいると、家まで行って悩みを解決しようとしたり、授業中には雰囲気みながら自分をいじって笑わせようとしたり、話で一時間を終わらせることもあった。そんな先生だからこそ、涙を堪えられないんだろうけど、さすがにハッピで拭うのは止めてほしいな。

「もう卒業だけど、星座のように離れていても、繋がりあえる事を祈っているから」

 そう涙を堪えて言う先生に、クラス全員で「はい!」と答えた。

 もう後は最後の号令をするだけ。それすると本当に終わってしまう。さらに涙が溢れてきた。

「今まで、ありがとうございました!」

 そう言い終わると、クラス全員で先生が話すのを待った。けれど、先生からの声は来なくて、変わりにジェイアラートがなった。


 体育館が傾き、学校が潰れてしまった。町を潰す程の地震が起きた。そんな中、私は学校を見ていた。数分前まで人生に涙した所。今では死んでしまった人への涙でいっぱいだった。泣き叫ぶ人。必死に救助する人。はぐれた子供を必死に探す人。一つになる事のない人の集団が出来ている。数分前までは一つになっていたのに。この先も出会えるか不安でいっぱいだったのに、今となっては合えない人でいっぱいだった。全てが逆になった光景が目の中にある。

 さっき言っていた先生の言葉。

「星座のように離れていても、繋がりあえる祈ってる」

このセリフが自分が星になることを予知していたようも思えてきた。

 目から涙が溢れてきた。

悲しみの涙が。

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日本行事を恋愛に ダミー @dummy0831

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