第10話
よし!これで10体目!
お、ドレインタッチのレベルがカンストしたよ!いやぁ、ずっと頑張って使い続けた甲斐があったってもんだよ。
ドレインの吸収速度が今まで以上に速くなった感じで、多分だけど一番最初にいたノーマルスケルトンくんなんて10秒もかからずに倒せるんじゃないかな。
我ながら恐ろしい魔物になったものだよ!フハハ、まぁ、さっき痛い目みたばっかだからね。油断はしないよ。
さっ、いい加減現実逃避はやめて、目の前の事態に意識を戻そうかな。
私の目の前にはドクロやら蛇やらとおっかない装飾が施され、妙に威圧感を放っている大きな扉があった。
明らかにやばそうな扉が堂々と佇んでるんだけど。
これを作った人だいぶセンスが悪いよ。
これってもしかしなくても、この先にボスが待ち構えているってパターンだよね。
ゲームとかならボスを倒すとお宝がざっくざくなのがお決まりだけど、こっちの世界でも同じなのかな。できれば、まださっきのメイジから被弾したせいで体がかけてるから、強敵とかは勘弁なんだけど。
よし!行こうか!
私は決意を固めてこのダンジョンのボス部屋を開いた。中は暗くなっていて見通しがつかない。
私が少し進んで完全にボス部屋の中に入ると、部屋の物々しい扉は、引き返すのも間に合わぬほどに勢いよく閉まった。
で、デスヨネー。私が今までやってきたゲームもボス部屋から出るには敵を倒すかリスポーンするかだったよ。流石に失念してたね。
ただこの世界にリスポーンなんてなくて、死んだらそれでおしまいだ。私はこの小さな猫の体で敵を倒してここを出るしかないんだ。
まぁ、気の張りすぎもよくないし、せめてお宝を奪って公爵様にプレゼントするくらいの気合いで行こうかな。
それで、あのー、敵はまだですかね。
私の意志を感知したかのように部屋の四隅に設置された松明が同時に灯される。
松明の明かりに照らされて暗闇から姿を現した存在に私は言葉を飲み込む。
そこ居たのは、右手に大剣をもち、左手には黒光する大盾を持ったフルプレートアーマーに身を包まれた魔物だった。
おそらくだけど体に黒い魔力を通わせているから、スケルトンだと思う。でも、さっきのスケルトンたちと比べて体の魔力量が尋常じゃない。
このスケルトンナイト一体?
これまで通りの物理攻撃だけのなら、このボス戦は余裕だろうけど、前世のゲームならボス戦はそんなに甘いものじゃない。
何か異様な雰囲気を持っている上に、注意深く見ていると体だけでなく鎧や剣にまで魔力が流れている。
『スキル 看破を取得しました。』
新しいスキルは嬉しいけど、そんなの今はいいから目の前の相手に集中しよう。今回の敵は一筋縄ではいかなさそうだ。
私はより一層気を引き締めたのだった。
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