第16話
おおじいさんは、災難だった。皆山に逃げてしまった中、たった一人だけ取り残された。
ぼくはおおじいさんと対話ができた。
ひとり。それだけで災難だった。
ある日、何人かの外の大人に見つかり、恐ろしい職をあてがわれた。これがお前の生業(なりわい)だ。
おおじいさんは自分でも知らぬ間に鬼となり、閻魔となり、修羅となり、やがて人ではなくなった。
誰も、おおじいさんを助けてくれる人はいなかった。助かる人もいなかった。
唯一、愛してくれるひとはいた。
どんなにあなたが残酷で、どんなに残虐なことをしても、ただ冷酷に、わたしは、あなたを愛すでしょう。
おおじいさんは、女性との間に男女の子を一人ずつ授かった。男女のうち、男は遠くへやり、自分のようにはならないようにした。女は手元で母が育て時が経った時、貴方の所業をかならず償ってみせる。
だから。
貴方は死ぬまで。
一生一人でいて。
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