第6話

 やがて自分が父になった今。何度目かの同じ夢を見ている。

丸机に収納のたっぷり縫われた、銀色のボヤけた器具がこれでもかと差し込まれたボロ切れのような皮が広げられる。


これはヒトの皮だ。


聞きたくはない。この夢は恐ろしい。

しかし繰り返されるのはいつも同じことだ。

おねがい。

たすけて。

しらない。

そして、

ころされたほうがまし、とだれかが。

いっそころして。


つぶやく、嗚咽する、叫んだ、唱えた、祈った。


まだ限界じゃないだろう。


誰の声なんだとずっと思っていた。

ぜんいんの叫びと、詰問に。

だれかの絶望が、失望に変わる。

たすけてくれないの?

はじめから絶たれた望みに、それでも人は希望を抱くのか。

驚いた。


初めてのパターンだった。

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