短編集

ゴーストライター

ごめんなさい

 あるところに超能力を使える少女がいた。使える超能力は、人の心を読む、念写、未来を見る、姿を変える、ものを触れずとも動かすと様々あった。

 彼女の人生は、ベリーイージーモードだった。

 テストでは満点を取り、運動も校内でなんでも一番だった。容姿だって少しいじった。みんなが可愛いという顔にベースは崩さず近づけた。給食のじゃんけんには負けたことがない。  が、友達は一人もできなかった。

 皆、気味悪がった。いつも遊んでばかりで、授業もまともに受けていない、塾も行っていない人間が満点を取る。

 走る時、足の形が少し歪になったり、物を投げる時、腕の形が明らかに可怪しい。

 昨日までと少しではあるかもしれないが違う顔になる。それも、クラスの中で話していた有名人の顔に近くなる。

 じゃんけんどころか、ありとあらゆる勝負事に負けない少女。

 詳細にことを直すと、羨望や尊敬と言うよりも、不気味さや、気味の悪さが目立つ。

 彼女の心を読む力には一つだけ欠点があったのだ。

 それは、自分のことについては何一つとして読むことができない。重大な欠点があったのだ。彼女がそのことに気がつくのは、中学生のころ……自分の陰口を聞いたときのことだった。

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