結成!シンクロガールズ!!!

第9話 水泳部の派閥抗争


 ー シユ君の過去回想 放課後 保健室 6月後半 ー


 保健室登校を終えてひと段落。今日は雨だから運動をしない日。

 16時から19時まで勉強タイム。

 元々学年20位ぐらいのシユ君は当然として

 胃袋空腹連合の3人も学年平均ぐらいまで頑張っている。


 「なあ、最近雨ばっかで体動かせてないが俺達センコーに勝てるのか?」

 「さぁ?体育館は他の部活がいて使えないね」

 「かといって保健室で筋トレっていうのも何か違うし」お茶ズズー

 「平和が一番ですよリーダー」お茶ズズー


 「たのもー!!!!!!!!!!!!!!!」扉ガラァ!!


 「「ぶうううううううううう」」


 お互い席を向け合っていたが故

 噴き出したお茶が双方の顔面にかかったリーダー君と側近君。

 放課後だし先日の件もあったからこうしてたけどアダになったな。


 来訪者な彼女は紫髪で肩にかからないほどのショートで金色の瞳。

 美人というよりかは王子様系のイケメン顔って表現だろうか。

 ガタイがいいからどこかの運動部だろうな。


 「ワタクシは水泳部部長 紫杖しじょう リアトといいます。

 因みに下のお毛毛は剃ってます」

 「初対面でデリケートゾーンの話するやつがあるかあああああああああ」


 うん、それは私もリーダー君と同意見だ。


 「ええと紫杖君でいいのかな?あいにく私達の部活は弱小。

 専用の練習場も無いから倒しても意味ないぞ?

 それとも何か悩みがあってきたのかい?」

 「あなたが例の”名前を読んではいけない先生”ですね?

 関わったら身ぐるみ剝がされるとの噂。別名羅〇門らピーもん

 「失敬な!私は足回りだけだ!衣服全部は脱がさない」キリッ


 しっかし羅生〇らしょうピーはないだろ。勉強熱心なのはいいけどさ。


 「こほん。ワタクシ水泳部の先輩が滅亡したので引継ぎで部長になるんです。

 今回はその件で来ました」

 「ず、随分と物騒な口調だな」引き気味


 リーダー君も人の事言えない気がするがな。


 「せっかくなので部長権限で女子シンクロナイズドスイミング部を

 設立しようと思い立ったはいいものの学園長に拒否されまして」

 「でしょうね!!!!紫杖君と言ったら県大会を目指せる逸材だ。

 突然別の部活設立したらそりゃ誰でも止めるって」

 「随分と詳しいですね?」  

 「ああ。シユ君に渡された侵略計画書に君の名が載ってたからな」

 「直接対決で練習場を確保するためです!!」ドヤァ

 「いや、水泳部の領土取っても俺達の部活は陸上でやる物だろ」


 リーダー君、せっかく作ってくれたものを真正面から否定はしずらいんだ。


 「今回参ったのはシンクロ部創造の手助けが欲しいのです。

 虚無から部活を降臨させた先生だけが頼みですから」

 「あースポーツチャンバラ同好会とは状況が違うんだ。

 勉強ができるシユ君の大学進学を想定して部活動に入れるべきという判断。

 そして不良集団の胃袋空腹同盟をまとめて面倒みれるリスク管理。

 2つを学園長に持ちかけて同好会設立まで持ってこれた。


 対して君はその場のノリで決めている。多分ドラマの再放送だろうな。

 シンクロガールズ、最近話題だからな」ニィ

 「ぎ、ぎくり」

 「先生!シンクロって水の中でパフォーマンスする競技ですよね?

 シユもやってみたい!!」

 「シユ君はビート板を卒業してからだ」

 「ちぇ残念」

 「よく義務教育の体育こなせましたね」引き気味

 「彼女は生まれつき体がよくないのでな。

 保健室登校の時間は点滴刺してるんだ」

 「流石にワタクシの失言でしたね。ごめんなさい」ぺこり

 「いいよ慣れてるし。それより今はシンクロ部のほうが大事。

 メンバーはそろってるの?」


 「はい。ワタクシ含め水泳部からの引き抜きが7人です。

 因みに全員下のお毛毛は剃ってます!!」

 「だからその情報はいらないっての!!!!」

 「重要ですよ?水泳に限らずタイムを競う競技では

 1グラムの差で勝敗を分かつ時もあります。

 勝利の為にワキと下の毛は処理するんです!!!」

 「そ、そうか。俺も今日剃るわ」引き気味

 「リーダーって無処理派だったんですね!!!!!!!」

 「うふふふふふ♡」ノート書き書き


 側近君も当て字君も紫杖君の影響でやりたい放題だ。

 あー私は衛生面の観点で剃ってると補足しておこう


 「引き抜きはいいものの水泳部はどうするんだ?

 君以外にも選手がいるようだが」

 「それは副部長の 杉菜すぎなツクシが担当します。

 彼女らは部活を面接の手札の1枚、

 つまりそこそこ頑張って3年間部活をしたという結果が欲しいだけなんです」

 「大半が杉菜君派だと思うがな」

 「故に彼女たちはお毛毛を処理してません!!

 勝つ気がなんですよ!!きっと!!!」

 「なんで毛の処理で部活が分離してんだよ!!!!!」

 「リーダー君、これぐらいの年頃の子は気にするから。

 でもこの件を受けたら私たちは水泳部の派閥抗争に巻き込まれる。

 今回の件は学園長のGOサインが出るまで私も動く気がない。

 紫杖君は水泳部で結果を出すべきだからな」溜息


 本当は彼女を救ってあげたいしシンクロ部にも興味がある。

 けれど部活を掛け持ちするのは流石の私でもキツイからなぁ。


 そんなぬるい考えはシユ君の机を叩いた音で消えてしまった。


 「先生は何になりたかったんです!!熱血教師じゃないんですか!!

 これじゃあ冷血教師です!!生徒の悩みをはぐらかして!

 まるでドラマの悪役校長ですよ!!!」

 「シユ君。取捨選択ってやつだ。今水泳部を救っても見返りがない。

 ましてや若者の未来を潰す選択を教師が選んではダメだ」

 「でも!!!」

 「・・・・ったく教師ってのはどうも私向きの仕事じゃないなぁ。

 本当は救いたいけど立場ってもんがある。

 だから打開策は教えるから後は君たちの頑張り次第。


 学園長を納得させる方法、それは!!」

 

 「「「「「それは」」」」」ごくり


 「それは新たに文化祭を作ってそこでシンクロをすればいい!!」


 「はあああああ!ちょっと待て!よっぽどセンコーのほうが蛮族じゃねえか!

 真っ向から戦う気満々じゃねえか!!!」

 「落ち着けってリーダー君。夏休みには8月のお盆明けに登校日って日がある。

 そこに文化祭を自分たちの手で作るんだ。無論学園の許可を取ってな」

 「が、学園生活自由形の覇者取れますよ?例の先生」ドン引き

 「紫杖君の目的はあくまでシンクロすることのはず。

 だから水泳で勝ち抜くための息抜きという形で学園側に通す。

 無論君にも一筆いっぴつ書いてもらう。

 この文化祭が終わったら水泳部に専念するとな。

 これが今出せる最適解。そのためにはまず!

 我々の文化祭を作るために署名を集める必要がある!

 学園の6割ほどの嘆願書が完成すれば無視は出来まい。

 どうする?シンクロ同好会と保健室の諸君」ニヤァ

 

 「決まっています!!書類を完成させてシンクロを成功させます」


 「よし!書類作成のタイムリミットは夏休みが始まる7月中旬まで!

 文化祭を決行させ、シンクロを演じる!

 反論はないな!!!」

 「「「「「はい!!!!」」」」」

 「シユ裁判長!いつもの」

 「賛成派満場一致で閉廷!!」ハマーン様のようなものガンガン


 シユ君の判決が下った。すまないな今回の署名活動は参加できそうにない。

 流石に”例の先生”呼ばわりされてるのに声かけたら逃げられそうだし。

 あはははは、あはは、はぁ。今日は部屋の片隅でお酒飲むか。いっぱい悲しい。

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