第7話 リーダーのイチバンであるために その2


 先生 「前回のあらすじは!私の保健室に夏休みはないぞ?あははははは」

 側近 「大人って何でも決めて自分勝手だよ」


 夏休みは学生にとっての休息の場。

 そもそも気温35度を超える日も出てきている。

 確か地球温暖化、打ち水程度じゃどうにもならない。

 わっちもエアコンの効いた部屋でリーダーたちと過ごすはずだったのに。


  ー シユ部長の過去回想 グランドの片隅 6月中旬 ー


 「ちょっと待って!わっち達の夏休みがないってどうゆう事!」

 「んー言葉通りだ。いうなれば合宿だな」

 「合宿?」


 合宿ってどこかに泊まり込むってこと?


 「そう!題して40日41泊スポーツチャンバラ部合宿!!」

 「ね、ねえリーダー。多分チャリティ番組の影響だよ」ひそひそ

 「あ、ああ」引き気味


 2人3脚のように足を縛って直線を走る競技。

 その特徴は少人数ではなく団体で走ること。

 クラス単位で足を結ぶからケガ人が多発して中止になった学園も多いって。



 「ちなみに既に君たちのご両親にも連絡済み。

 全員許可を取ったから安心してくれ!あはははは」


 何この行動力。先生は時々よくわからい事に全力になるよ。


 「スポーツチャンバラ漬けの生活か。センコーを倒せる日も近いな!」

 「リーダー君。学園は勉強をするところだ。

 当然保健室での学習も設けてある」

 「はあああああ!部活だけじゃなくて勉強もすんのかよ!!!」

 「名目上無料の夏期講習で両親達の信頼を勝ち得たからな。

 安心しろ、6月の中間テストは全員点数が上がってるからな。あはははは」


 違うよ!そうじゃなくて!


 「そんな大事な連絡を!なんでわっち達に相談せず決めたの!!

 大人っていつもそうやって自分のルールを押し付けて!!」

 「そう、これが大人だよ。既にリーダー君はやる気になってるし」チラッ

 「センコー世話になったな」退部届けー

 「ちょ、そこは”上等だ!40日でセンコーをぶっ潰す!”とかさ」あせあせ

 「シユは大歓迎です!だって先生と一緒ですから!!」

 「そこなんだ!俺達が寝ている間にセンコーが布団にもぐりこみそう!」

 

 リーダー、正解。


 「しししししし、失敬な。私大人だ!ソンナコトシナイヨー」

 「「「「怪しい」」」」

 「こほん、異議申し立てがある者は私に勝ってからだ。

 特に側近君、理不尽なルールを押し付ける大人の代表が私。

 日頃のストレスから何でもぶつけてくるがいい!あはははは」

 「そういえば当て字副部長ちゃんはどうです?当然参加ですよね!!」

 「うふふ♡」にこにこ


 やばい。逆らったら喉から木刀刺されて魚の丸焼きみたいにされちゃうかも。


 「そそそそ、そうだな。センコーを倒すのが目標だからな、

 だろ?そ、側近」ガタガタ

 「え?わっちに振るの!!!!リーダーが参加するなら行くけど」

 「決定ですね。

 ああ先生シユ部長さんとリーダーさん側近さんペアの熱い夏合宿。うふふふふ♡」

 「いつのまにか私とシユ君のカップルが誕生してますが!!!!」


 先生のツッコミは置いといてリーダーとカップルかぁ。

 そうなったらいいけど、わっち達って同姓だから結婚できないんだよね。


 「では賛成ってことで。後日詳細は送るから。あと側近君は居残りね。

 すまないなリーダー君。今日の合気道は無しだ」

 「待て!さっきの恨みで説教する気だろ!!

 俺は残って無事を確かめてから帰る!!」

 「構わないが保健室にて待機でいいか?少々込み入った話でな。

 無論帰っても構わない」

 「手を出すんじゃないだろうな?」

 「なにちょっとした人生相談とスポーツチャンバラの特訓さ。

 リーダー君に勝つための、な」


 リーダーに勝つ秘策?そんなものあるの?


 「嘘はねえだろうな」

 「そんなことしたら当て字君にボコボコにされるし」引き気味

 「うふふ♡」腕ポキポキ


 ルールありなら先生のほうが強いけど、無法試合では負けてるからね。


 当て字副部長がリーダーに耳元で会話した後去っていった。

 そしてリーダーやシユ部長も貴重品の入ったサブポーチをもって退席。

 靴ひもが気に入らなかったらしく

 リーダーは1度木のそばでしゃがみ込んでいたけれど。


 「なるほど、なるほど。少しは知恵を付けたようだな」

 「何のこと?」

 「あのまま1人でも残っていたらありきたりの話しかできないからな。

 空気を読んでくれて助かったのさ」

 「空気を読む?」

 「ああ。恋バナさ」

 「こ、恋バナぁ!!!!だから人払いしたんだ!」


 恋バナ。恋の話を略したもの。

 プライベートな内容だから誰かに聞かれれば当然恥ずかしい。


 「側近君、君は・・・・・」

 「ごくり」


 非常に重い空気。先生もなかなか話を切り出せずにいる。


 「君はリーダー君が好きだな!!!」バアアアアン!

 「先生!声!声!」

 「で、どうなんだ?尊敬や友情とは違う感覚なはずだ」

 「わっちは・・・・好きだよ!でもどうすることだってできない!!

 だってリーダーもわっちも女の子で!結婚ができない!!

 大人の作ったルールのせいで!!」


 これは本音。でもなんで先生は恋心を見抜いたの?

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