第5話 悪魔誕生の儀
リーダー「前回のあらすじは同好会を設立したところだな」
ー シユって子の過去回想 グランドの片隅 放課後 ー
体育用のジャージに着替えた俺、側近、当て字、シユ、そしてセンコー。
スポーツチャンバラの道具は保健室のセンコーが用意すると言っていた。
知り合いから宅急便で送ってもらえるそうだ。
人望がないわりに人脈だけはあるな。
「活動初日だし君たちの精神力でも測ろうか。あはははは」
「精神力?そんなもん勝負に関係がない」
「スポーツチャンバラも合気道も瞬間動作で決まる競技だ。
負けそうとかこの技が決まれば勝てると言った恐怖や油断した瞬間負ける」
「くっ、正論だな」
センコーに口喧嘩を挑むのは早かったな。
「じゃあ腰を低くして、足を広げて、そう空気いすの要領だ」
「り、リーダー!意外とキツイ」
「ああ。確かに精神力の修行になりそうだな」
「はいさらに腕をまっすぐ前に伸ばしてー。シユ君手伝ってくれ」
「了解です!先生!!」敬礼ー
俺達の体にプラスチック製のお椀を乗せていく。二の腕に太もも、さらに頭にも。
「り、リーダーこれって!!」
「ああ、金曜映画ショーで見たやつだな。
いっておくがお酒は二十歳になってからだぞ」
「またバレてる!!!」汗だらだら
「
別の部活のランニング集団に笑われたが今動くとお皿が落ちる。
なるほど、こういった修行か。
「制限時間は今から10分。私が君たちを揺さぶるから耐えてくれ」
「分かった。シユって子にタイマーを持たせてやれ」
「先生、胃袋空腹連合ちゃん達いいですか!!ではスタート!!」
センコーの事だ。動かなくなった俺達の靴のニオイでも嗅ぐんだろうな。
「さてシユ君!例の布を外したまへ!」
「じゃじゃーん!アウトドア用ガスバーナーです!!」ばさぁ
なんだよ”したまへ”って”したまえ”でいいだろうが。
それよりもガスバーナーや鍋、インスタントラーメンの袋?
火をつけて水を入れ調理し始めた。
「お湯で3分即席めんを君たちの目の前で食べるから。
ちょうど小腹が空いてくる時間だからな。あはははは」
「外道が」
食欲に対する修行か。確かに精神面で欲を出したら負けるか。
「じゃシユ君。靴の中敷きを」
「はい!だいたい2日熟成しました!!」
「シユ君の”だし”で出来たラーメン。完成が楽しみだ」
そういって中敷きを鍋に入れやがった!!
「ほーれ、君達にもおすそ分けだぞ~。
苦悶の表情しても君たちは動けないからな」うちわパタパタ
(りりりりり、リーダー!なんかやばい!!あの先生ヤバい!!)
(分かっている。センコーの舌と脳は壊れてる。
なぜ俺達が他人の靴のニオイで興奮すると思ってるのだ?)
(
「そうだなー。明日はリーダー君の中敷きでだしを取ろうかな?
食べたい人はいるかな?」にやり
「はい♡!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」あっ
・・・・側近が元気よく手を上げて脱落した。
お皿を落としたショックでうなだれている。
確かに彼女の忠義心は認めるがあの変態と同レベルだぞ。
「ご、ごめんリーダー。つい」
「気にするな。センコーの発言に動揺しただけだろ?」
「うふふ♡」
側近のフォローをしておいてなんだが当て字の様子がおかしい。
ちゃんと全員昼ごはん食べたはずだが?
- 5分後 ー
「そろそろかな?シユ君のだしで取ったラーメンの完成だ!
シユ君も一緒に食べるかい?」
「いいえ!遠慮します!!!!」
あのセンコーが絶対正義なイエスマン、シユって子が拒否した!!!
「じゃあ遠慮なくいただきまーす!!!」
(りりりりリーダー!割りばしで食べ始めましたよ!!!!)
(正気じゃないな)
「ほれ、ちゃんと匂いを嗅げって。食欲に打ち勝つのが修行だからな!」
「そんなものに食欲わくか!!!!!!」
ー さらに5分後 ー
「おめでとう!今回の合格者はリーダー君と当て字君だ!」
「全然嬉しくないが!!!!」
やっと解放されたか。
「どうしよう?リーダーに嫌われる」あせあせ
「そんなことで側近を捨てたりしない。
今回はあの悪魔センコーが
「うう。りーだーあああああ」
泣きながら抱き付いてきた側近。
本音を言えば多少引いたがこれも相手の作戦だろうしな。
「うふふ♡」鼻血ぶしゃあああああああああああああああ
「ちょ、当て字君!!!!!血出てる!ティッシュティッシュ!!」
慌てて止血するセンコーとシユって子。何故当て字が?
「あー原因が分かった。リーダー君と側近君の友情に興奮したんだ」
「はぁ?意味が分からない」
「当て字君は授業中に何度も
トイレに行くと手を上げるほどの強メンタルの持ち主。
手術で改善した結果自分の欲望を我慢しなくていい体質になったんだ」
「悪化してるじゃないか!!」
「じ、じつはトイレを我慢するって行為に、そ、その興奮してて」
「・・・・もとからそういう子だったのかよ!!!」
「まさに色欲の魔人とでも呼ぼうか。あははははは」
俺だって叫びたくなる!!!というか初耳だ!!
「分かっただろう?
友情も極限状態になると隠していた本音が出てくるもんだ。
お互いに傷つけまいと遠慮していた欲望がむき出しになったな!あははは」
今ならセンコーをハッタ押しても文句は出ないはずだろ!人類!!!
「先生はこれできるんですか?」
「え~無理に決まってるだろ?ほらこの野次馬の量。
頭にお椀乗っけてる大人って恥ずかしいし。あははははは」
プチン
「センコー次は俺からの挑戦状だ。いまから学園外5週ランニングしようぜ?
俺が追いついたら木刀で尻殴るからな」ゴゴゴゴゴゴゴ
「ひっ!暴力反対!!」
「じゃ行くぜおらああああ!!!」
「本気の目だ!!!」逃げろ!!!
「なんか面白そうだしついていくよ、リーダー」
「うふふ♡」しゅばばばば
「シユも自転車にのって応援します!!頑張ってください先生!!」
「あはははは逃げ切って見せるさ!!!」
学園の野次馬も参加したランニング大会は近隣住人のクレームを呼ぶことになり
参加者全員始末書を書く羽目になった。
新たにランニングの際は歩行者及び車の往来に配慮するため20人毎という
校則が追加されこの件は幕を閉じた。
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