第2話 努力は報われない2/5
まず、研究生が歌唱力・ダンスでoneからelevenに振り分けられ、次の放送でデビュー組も同じように振り分けられた。
上位グループだから視聴者投票も心配ないって思うでしょ?
違う。全然違う。一ミリも安心できないのよ。
絵里ちゃんたちのチームはパフォーマンス後、審査員の方々から「oneチームと思えないほどレベルが低い」「動きが揃ってなさすぎる」などなど、厳しい言葉をぶつけられていた。
チームの話し合いでセンターを担うことになった絵里ちゃんに至っては「何故貴女がセンターにいるのかわからない」「ふさわしくない」なんて、聞いているこっちが辛くなる評価を受けていた。
素人の私からしてみれば、十二分に頑張っていたと思うのだけれど。
「おっ、いよいよ順位発表が始まるよ」
那海の声で思考が現実へと引き戻された。
「40位から発表されるんだね」
声のトーンを落として言う彼女に
「1位から発表するより、最下位から発表するのが
「そりゃそうか」
どうしてかしら。彼女のテンションが先ほどよりも明らかに低い。
私と同じように、少女たちの緊張に気持ちが引っ張られているのだろうか。
そんなことを考えているうちに、40位が呼ばれてしまっていた。
なんてこと。私としたことが、他人に気をとられて推したちの姿を見逃すなんて。
「あちゃ……奈美ちゃん、最下位か」
残念そうな声。不本意だけど、私も同じ気持ちだわ。
残ったのは嬉しいけれど、これから彼女は更にパフォーマンスを磨かなければ、次は絶対に落ちるから。
お互いに気持ちが沈んでいるのをなんとなく感じながら、私たちは続きを見守った。
次々と呼ばれていく名前。坦々と進んでいるけれど、少女たちの無事にランキングに残れてほっとしている症状たちの表情に、心の中で「おめでとう」を言い続けた。
「それでは第33位の発表です。33位は……滝本真城!」
「おおっ」
呼ばれた。那海の推しが。
「おめでとう」
万歳を何回もして喜ぶ彼女に祝福の言葉を送ったら、
「ありがとううううう」
泣き出した。
気分の上下がジェットコースター並に激しい。でも、その気持ちわかるわ。ほっとしたのよね。
私の推しはまだ呼ばれていないから、緊張しっぱなしだけれど。
自分のことのように喜ぶ那海を見て緩んでいた口元を引き締め、視線をTVへと戻した。
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