幕間 その9 解読依頼
オレンの家から戻ったルーナは、その足で「メティスの大盾」メンバーと会議をしている。
「…ということで、あの少年から『白鳥のくちばしにある、神秘なメタリシス、植物金属ハーペリア』という情報を、私が、苦労して、得ることに成功しました! はいそこ、遠慮せず褒めていいのよ? オホホホ。」
ミーヤとの一件の直後のせいか、あるいは元からそうなのか、激しく耳を振りながらよくわからないテンションを見せるルーナ。
「「……。」」 二人は黙る。
「凄いです、ルーナさん。」 ヒナは褒める。
「ありがとね、ヒナちゃん。はい! では、この情報の意味が分かる人!」
「「「……。」」」 三人は黙る。
「え~。誰もわかんないの? まぁ、私もわかんないけれども…。なんか言いなさいよ、陸奥。」
「…。ふ〜ん、弱りましたね。皆目見当がつきません。」
「言葉通りに見るのなら、くちばしがハーペリアという名の植物金属で出来ている白鳥がいる? ということでしょうか?」
「そうだとしても、どうやって探せと。情報が少なすぎる。」
「……。」 ヒナは膝の上で丸くなっているピアを優しく撫でている。
「「「ふ~~~~ん。」」」 四人はしばらく考え込む。
「どうでしょう。このまま考えても進展がなさそうですので、ここは「コハクフクロウ」の皆さんに助力を求めては?」
陸奥は、沈黙を破り提案する。しかし、ルーナはその提案に対し不快感で応える。
「え~~! 私は嫌よ、あそこに行くの。そうだ! 男子二人で行ってらっさい。そうそう、丁度いいわよ、フクロウのメンバーと合わせて、男女で三対三になって。ねぇ、ヒナちゃん。」
ルーナは耳を下げながら、異常なほど拒否する意志を示した。
「あのなぁ……。」 ブラッドは頭を掻きながらルーナに呆れる。
「まあまあ…、そうですね。今回はルーナさんのお手柄ですので、この先は私達が頑張らないと。」
と、陸奥はブラッドを宥める。ルーナからは(そうだ! そうだ!)という声が聞こえそうな意志が伝わる。
「では、今日はもう遅いので、明日。朝一でフクロウの皆さんの所に向かいましょう。流石に只で、という訳にもいきませんから、何かお土産を用意しませんと。」
陸奥は気配りを見せる、フクロウに対しても、仲間に対しても。
「ああ、そうだな…。まぁ、そういったことはお前に任せる。」
「そうですね、では私が、彼らの好みに合う様な甘いお酒などを見繕っておきます。それでは明日。」
妥当な落としどころを見つけて、会議は終る。その頃にはピアはいつの間にか、ヒナの膝の上でお腹を出して寝ていた。
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