第22話 三夫、干される

三夫は切り出す松の木片の量が分からなかったが、おおよその見当をつけて松脂まみれになって用意した。

「よし、このくらい切って後は干すだけだな」

そう思った途端、雨粒が三夫に当たった。

「げっ、雨降ってきた!」

雨は段々激しさを増し、土砂降りになってきた。足が固定されてる三夫は雨を凌ぐ方法が皆無である。ひたすら雨に打たれてびっちょびちょになった。

「何でこんなことになるんだよ~」

雨は一晩中降り続け、そのうち三夫は震えながら眠りに落ちた。

朝方の日の光で目が覚めた三夫は不思議なことに気付いた。

「あれ?松脂が無くなってる!しかも服が濡れてないぞ?なんでだ?」

足元には切り出した松の木片が転がっている。そこに老人が現れた。

「おお、お若いの。木は切ったかの」

「切りました。ところで夜、物凄い雨降りましたよね?」

「はて?そうじゃったかの。寝ていてわからんのぉ。かっかっか」

三夫には理解しがたかったが、

「松の木は切り取ったので乾かします」

「まかせたぞい」

松の木片を乾かす作業に入った。すると、今度は打って変わって物凄い日差しが三夫に降り注ぐ。暑くてたまらない。だが三夫は耐えた。汗が滝のように滴り落ちる。たまらず老人のところに駆け込んだ。

「暑くてたまりません。水をください」

「構わんぞい。そこの甕に入ってる水を飲むがよい」

そう言われた三夫はごくごくと喉を鳴らして水を飲みまくった。

「ああ、生き返った」

三夫は再び木片のある松の木の下へ戻った。

「あれ?」

切り出した松の木片は何故かびちょびちょになっていた。


⇒第二十三話

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