第14話 三夫、証拠を探す(弐)
三夫はこの紙切れの効力を老人に証明するべく「熊の置物」に次いで「日本人形」が「日本一の女優」なのかどうかについて検証することにした。
三夫には日本人形の女優なんてものに皆目心当たりがない。というか、普通あり得ないと考えていたが、こけしといい熊の置物といい、三夫の想像では考えられないことが世の中で起きていることを悟った。
「女優ならば映画だ!」と勝手に決めつけた三夫は最近の日本映画の出演者を調べ始めた。
「日本一というのなら有名に決まっている」
まぁ、そういう等式は当然考えられる。だが、最近にもここ数年にも「日本人形」らしき出演者はエンドロールやパンフレット等を調べても出てこない。
「一体どうなってるんだ?」
と三夫は首を傾げた。
「じゃぁTVドラマだ!でも詳しくないしな。そうだ!」
三夫は無二の親友である梨田にまたもや教えを乞うことにした。
「よう、超エリート大学生の梨田くん。元気かい?」
「ん、まあな。超絶世間知らずで暇人の三夫くん。今度はこの僕になんの用だい?あいにく僕は多忙でねぇ」
「俺の電話に出る余裕があるなら忙しいわけ無いだろうが!ってか、相変わらず超エリートを否定しないんかーい」
「あ、その事かい?事実は否定できんからな」
「それは置いといて、超エリートなら芸能にもお詳しいんですよね?」
「まぁ、そこそこだな。二次元系は得意だが」
(ん?二次元?そういうカテゴリーもありだな)
「そこでお伺いしますが、梨田さん得意の二次元で日本人形のキャラとかって存在するのでしょうか?」
「存在するのでしょうか、だと?」
「ええ。なにか問題でも?」
「なにか問題でもだと?貴様それでも日本人か!」
「な、何だよ急に!知らないから聞いてるだけじゃん!」
「お前さ、幾ら超絶世間知らずって言っても、それくらいみんな知ってるぜ?日本人形様は日本が世界に誇る二次元アイドルかつアニメキャラかつボーカロイドだぞ!知らんとは失礼至極!」
「そ、そうなのか?いや、知らない俺が悪かった。謝るよ。それで日本人形様はどんなアニメに出演されてるんでしょうか?」
「それはだなぁ、代表作はおいでやす〜京都祇園のお茶座敷へだな!あとは」
梨田は得意になって語り始めた。
「その、おいでやす〜はどこで見れるんでしょうか?」
「Your Tobeに決まってんだろうが!この世間知らず野郎!」
この話は延々3時間続いた事を追記しておく。
梨田の話はともかく、日本人形がアニメキャラで超絶な人気を博していることが判明した。そこで三夫はYourTobeでその事を確認することにした。
検索欄に「おいでやす」と入力すると検索結果に日本人形に関連するものがずらりと並んだ。その中で「おいでやす〜」の動画を視聴してみた。確かにそのアニメ動画には日本人形がここぞとばかり活躍する内容が流れた。
「これかぁ」
三夫はにやにやしながらその動画を眺めていた。
⇒第十五話
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