第11話 三夫、老人と再会する
水曜日になった。三夫は大家のおばさんの情報を基に、フリマが開催される近所の角地の小さな公園に来ている。フリマが何時に開催されるのか、そもそも今日開催されるのか自体不明のまま朝から公園に佇んでいる。
最初は公園の一人掛けの椅子に座って待っていたものの、退屈なので遊具で遊びだした。しかし、いい大人が朝っぱらから公園の遊具で遊んでいるのも何なので、一度家に帰って就活のHow to本を読んで待つことにした。
昼になってもフリマが開催される気配がない。真向かいのスーパーで弁当を買って公園で食べていた。すると、情報を提供してくれた大家のおばさんが公園を通りがかった。
「あら、あなた。この前の」
「あ、どうも」
「今日は水曜日だものね。フリマとやらはありそうなの?」
「いやぁ、今のところはさっぱりで」
「違ったらごめんなさいね」
「いいえ、構いません。今回だめでもまた改めて待てばいいので」
「フリマが来るといいわね。なにか買うものがあるの?」
「いえ、買い物というより品物を出品する人に用事がありまして。その人も来るかどうか」
「そう、それは大変ね。その人来ればいいわね」
「ありがとうございます。頑張ってみます」
「それじゃね」
大家はそう言うと三夫の住むアパートの方へと消えていった。
「うーん、やっぱり早すぎたかな?ま、やり過ごすよりいいか。3時くらいまで待ってみよう」
弁当を食べたあと、一向にフリマなるものが開催される気配がない。公園で遊ぶ子供も来ない。
3時半になった。
「フリマは無いな。あの老人ももう来ないだろう。紙切れの仕組みを聞こうと思ったけど、会えない以上、あの紙切れは意味がない」
<そうかのう?>
「え、誰?」
ふと振り返るとあの老人が以前合った出で立ちと品物を広げて公園にちょこんと座っていた。
⇒第十二話
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます