第10話 三夫、老人を捜す

 三夫は、老人から貰った不思議な紙切れの法則性に気付いたものの、その効果が現れない。しかし、こけしが防衛大臣になっている事実から、法則性自体は間違っていないようだ。だが、その他に発動条件があるようで、それが皆目見当がつかない。

「うーん、思いついた通りにやったけどだめみたいだな。どうしようか。あの老人に再会してその条件を聞かないといけないけど、どこに居るかもわからない。どうするか」

 三夫は独り言をつぶやいた。

「確かフリマがあった日にあの公園で老人に出くわしたから、次の開催日時を調べよう。近所の知り合いか。いないなぁ。大家さんにでも聞いてみるか」

 あくる日、三夫は近所の小さい角の公園で行われるフリマの次回開催予定の知るべく、アパートの大家さんに情報を聞きだしてみることにした。大家はアパートの向かいに住んでいる。

 玄関のチャイムを鳴らすと、アパートの大家のおばさんが出てきた。

「すみません、突然伺って」

「あら、あなたアパートの。どうしたの?何かあったの?」

「いえ、アパートの事ではなくてですね、この近くの公園ありますよね?角地の」

「あ、あの小さい公園ね。それがどうかしたの?」

「あそこでフリーマーケットが開かれること、ご存じですか?」

「フリーマーケット?ああ、品物を広げて何かしてるやつかしら」

「そ、それです!それって定期的に行われたりしてるんですかね?例えば毎週何曜日とか」

「どうかしらねぇ、正確には分からないけど私は決まって水曜日に公園の向かいのスーパー、知ってるでしょ?あそこに行くときにやってたような気がするわ。毎週じゃなかったかしら。正確じゃなくてごめんなさいね」

「いいえ、十分参考になりました。ありがとうございます。次の水曜日に見てみることにします」

「こんな情報で悪いわねぇ」

「とんでもないです。ありがとうございました」

三夫は老人に再会する一線の光明を得た気がした。


⇒第十一話

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