第5話 三夫、何かに名札を付けてみる(弐)

三夫は「芥」の漢字単体の意味を調べた。

「なになに、芥とはごみの意味?え?そうなのか?!意外だな。じゃ、芥川ってゴミの川って意味なのか?イメージ悪いな」

再度こけしの別の解説を見てみると、こけしは生産地域に色々な呼び名があり、それを統一して「こけし」としたとあった。

「へー!一口にこけしって言っても深いもんなんだな~!ん?こけしの赤い染料は魔除けのために使われていた?(参考記事:じゃらんニュース) お、そうなると防衛大臣と結びつく感はワンチャンあるか」

三夫は取り敢えず「こけし」と「防衛大臣」の関連性の着地点を見出した。

「名前と名付けたモノとの関連性は深掘りしないとだめみたいだな。このこけしの場合、そもそも名前がモノと似つかわしくないからな。でも、名前を付ける方法はある程度はわかった」

  今度は何に名前を付けるかを物色し始めた。

「名前の関連性は何となくわかったけど、何に名前を付けるかだなー。だけどモノに名前を付けるとどんな影響があるんだろう?そこも知らないといけないな。あ~めんどくせぇ、ちょっと休憩するか」

そう言うと、三夫は徐ろにTVをつけた。夕方6:00台、TV局はこぞってニュースの時間帯だ。ニュースに興味がない人間にとっては苦痛の1時間。内定が取り消された三夫にとっては世間の出来事は半分どうでもよく、変な爺さんに貰った和紙の件に現実逃避よろしく没頭していた。 TVを付けた任意のチャンネルももれなくニュース番組である。

「次のニュースです。小芥子防衛大臣は対中国に対し、来る北朝鮮のミサイル攻撃に備え、日本海全域に迎撃用のスカッドミサイルを配備する意向を劉備外相に示しました」

「はいはい、小芥子防衛大臣がね、しがない世の中だな~って、え?こけし防衛大臣?うそだろ?!」

その後の映像に、三夫の持っているこけしと同じものが防衛大臣として記者の質問に平然と答えている。三夫は目を擦って再度見直してもやはりここにある、名札をつけたこけしに違いない。

「おいおい、大変なことになってないか? 防衛大臣って、あのこけしがか? 何がどうなってるんだ?でも、そもそも今の防衛大臣誰だったっけ?」

スマホを取り出し、友人の梨田に慌てて電話した。梨田は三夫の通う大学の友人だ。

「な、梨田か?俺だ、三夫だ」

「どうしたんだよ、そんなに慌てて」

「あ、あのさ、」

三夫は動揺が隠せないまま梨田に話しだした。


⇒第六話

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