第3話 老人からの贈り物
「和紙?へぇ、実際見た事無いですけど手作り感があるんですね。ざらざらしてる。少し黄色いですね」
「この和紙はな、楮(こうぞ)という木の皮から作ったものじゃが、わしの<魂>が入っておる。この3つの名札に使っている紙じゃ」
「楮って初耳です。和紙自体初めて見ました」
「そうかい。ま、和紙自体普段からあまり接点が無いからの。上品ぞぇ。買っていくかい?お若いの」
「主に何に使うんですか?って聞いたところで財布がぺちゃんこでして。ごめんなさい。ちょっと買えません」
「なぬ?ここまで懇切丁寧にネタばらしをしてやっとるのに買わんというか!この不届きものが!と言いたい所じゃが、わしも都会を離れて田舎に帰らんといかんでの。持っていてもしょうがない、ほい!」
老人は三夫に和紙の束を放り投げた。三夫は慌ててキャッチを試みたが敢え無く失敗。地べたに落ちてしまった。
「間抜け者にはこの和紙が助けてくれるぞえ。大事に使え。さらばじゃ、お若いの!」
老人はそう言うと、公園を飛び出したと思ったらその数秒後には既に姿を消していた。
(しかし変な爺さんだったな。自分が人よりぐずぐずなのは自覚してるしてるけど、間抜け呼ばわりは酷いな。でも、この和紙を貰ったから良しとしよう)
と歩きながらの一見正当な自己分析。だが結局、自分の欠点を自覚しての着地なのが中々残念である。
三夫はアパートに帰ると、その和紙の束をしげしげと見始めた。
「うーん、貰ってはいいけど使い方が皆目分かんないな。黄色というか、アイボリーに近いな。大体名刺より少し大きいか。名札に使う位だからな。何か繊維質があって、凸凹してる。枚数は5枚か。そうだ、和紙の用途を調べてみよう」
三夫はパソコンを起動して和紙の用途について調べてみた。Coookleさんの答えは
「何々?書物、手紙、お、紙幣?そうなんだ。提灯、傘 しりふき紙!トイペか!色々あるんだな。でも、こんなのに使うには小さ過ぎるな。何に使おうか。取り敢えず爺さんに倣って名札で使ってみよう!」
三夫は何に名札をつけるか思案し始めた。
⇒第四話
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