第2話
お茶会。
本当はお茶を楽しむよりもお話の方を重視してる建前の権化。
私はお茶会が苦手だった。
みんなが想像するヒロインは心から優しい、或いは偽りの優しさ、だとでも思っているのだろう。
しかし私にはそんな根っから良くも悪くもない、ただの凡人。
ライバルは消えて欲しいけど、いざ倒れていれば私は迷わず心肺蘇生法を行うような感じ。
だから、お茶会なんていう場は凡人にとってみれば美味しいケーキが食べれるただのカフェなのだ。
だけど貴族はそのお茶会を思う存分活用しなくてはならない、
というのは私にとって半端ないプレッシャーなのだ。
その上で私は今戦っているんだ。
カーナは私よりも大人びていて、頭も良い。
彼女とは生まれた時からいつも一緒だった。
しかし、私よりも早く、正確に、着々と成長するにつれ、私はいやでも劣等感を抱いてしまった。
普通、そんな感情は隠して偽りの自分を抑えるのだが、私とカーナはそんな浅はかな絆では結ばれていない。
私はいつもはっきりと、やきもちを焼いている、悔しいんだ、と伝えている。
そしてカーナは毎回私の気持ちは否定しなかったが、私の素直さを褒めてくれた。
これでは、明らかにカーナがヒロインだ。少なくとも私はヒロインではない。
けれど、あの日のお茶会でこの気持ちは全否定された。
カーナもあの日鏡にプロフィールが書かれていたのだ。
しかも役割は悪役令嬢。
しかし私のように、前世の記憶は持っていないらしい。
つまり転生はしていないのだ。
この事実を聞かされた直後にヴィランがやってきた。
このことは一旦秘密にしておこうと二人で決めた。
これだけで私は精一杯だったがさらにショックを受けることがあった。
ヴィランはお茶会に来るや否や、私にこう告げた。
「二級中罪被疑者、確保!」
カーナがニヤリと微笑んだ。
「ちょちょっとカーナ、これはどういうこと?」
カーナは私の方を向いて
「話しかけないで、犯罪者。」
カーナはもう笑ってはいなかった。
「何故?私が何をしたっていうの」
もしかして前世が関係してるのかも…
「ふん、今更惚けないで。ヴィラン様、ご説明願います。」
ヴィランと呼ばれた十代後半に見える青年がもったいぶって羊皮紙を取り出した。
「えー、アイリーン・リディエールは上級公爵家カノーラ・カフィコフ嬢を毒によって殺害を試みた。
さあ、わかるだろう、リディエール。お前は超上流貴族の娘を毒殺しようとしたんだ。」
冷たく放たれた言葉を私はただただ聞いているだけだった。
こんなの知らない。
わからない。
やってないのに。
やっと声が出せるようになって
「私はやっていません。否認します。」
力強い言葉とは裏腹に私は怖かった。
「ほら、ヴィラン様、この女のいやらしさは理解できたでしょ」
カーナが得意顔で話す。
「証拠はあるの?」
震えつつ私は聞いた。
「あるに決まってるわ。」
カーナはヴィランから手渡された液体をカーナが飲むべきカップに一滴落とした。
すると、赤い紅茶が見る見るうちに青くなった。
「この液は毒に反応して青くなるの。さあもう言い逃れ出来ないわよ。」
確かに紅茶に指示薬を入れて青くなる話は知らない。
だけど…
私はその先意識は無かった。
次に起きたときは暗い井戸のような場所にいた。
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