第四十四話「復活」

『くふふふ! そんな物で、俺の毒を防げるものか。皆死ね!そして生き肝は我が妻の物だ!!』

 黒い霧に気が付いた、美夕は口をおおい急いで、その場から逃げようとした。


 だが、霧は無慈悲にも、美夕をとらえてしまった。


(美夕!)

(美夕ちゃん!)

(美夕!)


 晴明、道満、篁は美夕の方へ駆けだした。

『くふふ! どこを見ている!?』

 炎獄鬼は翼をはばたかせ、大風を巻き起こし三人を巻き上げた。


「ああああ―!」


 晴明達はふっ飛ばされ着地が出来ず地面に落ちた。

「う、ああっっ!!?」

 美夕は、毒の霧を吸い込んで苦しんでいる。その時、物陰から人影が飛び出した。


 その人物は言霊を唱えると、光を空に向けて放った。

 光の粒子りゅうしは、空から晴明達に降り注いだ。


「これは……」

「うわっ、一瞬で傷が、治ったぞ」

「この力の波動は?」

「苦しくない、息ができるわ」


 美夕は喜んでむくりと、起き上がった。

「大丈夫かね? お嬢ちゃん」

 何と、伯道上人はくどうじょうにんが救世主のように立っていた。

 美夕は感動して、震え頬が紅潮こうちょうした。


「伯道様、生きていらしたのですね!」

 美夕は感極まって思わず抱きついた。

 伯道は優しく、美夕の髪を撫でると立たせた。


「今は戦いの最中じゃ。まずは、あやつを倒さなくてはな」

 炎獄鬼を睨み、晴明達に士気しきを高めるように、声をかける。


「お嬢ちゃんは、わしが守護する! 晴明、お主達は戦いに集中するのじゃ!」

「承知しました。お師匠様!」

「あんがとー、じいちゃんっ」

「伯道殿、了解致しました」

「晴明ちゃん、じいちゃん生きてたよ」


 道満は死んだと思っていた、伯道が生きていて心底嬉しかった。

「ん? 亡くなられたなどと。私は、一言も申していないぞ」

 晴明は、心底嬉しそうに答えた後、変化し直す。


 位の高い仙人は、命の光が二つあることを

 晴明は思い出し内心、胸をなでおろしていた。

「晴明ちゃん、性格わり~」

 篁は嫌味まじりだが、嬉しそうに刀をぬいて構える。


『ふざけるなああああっっっ! 貴様らああああっっっ』

 炎獄鬼は、青筋を走らせ怒号を飛ばす。

 伯道上人は輝く、ドーム型のバリアを張った。


 炎獄鬼は、美夕と伯道にも、激しい攻撃をしてきたが、

 伯道のバリアが、全てふせいでしまった。

「どうか、ご武運を!」

 美夕は、万感の思いを込めて、祈りをささげた。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 伯道上人復活!

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