とても魅力的な物語です。シンプルかつ鮮やかな言葉で表現されていたのは、閉鎖空間に置かれた人間の精神が、「飢餓」と「絶望」に如何にして追いつめられ、最後の一歩を越えるのか、という極限の景色でした。淡々とつづられているからこそ、人間の底深さが浮かび上がる。ちょっとこれは中々出会えない透明感です。