ほのぼの小話② 魔獣の名前

「Ed(エド)、きゃわゆ~いっ」

 フェリックスとワンコがじゃれてんのが、すーげぇ可愛いんだよね。

 可愛くって、ずっと見ていられる。

 可愛い×可愛い=正義だわ。

 いつの間にか、フェリックスが、ワンコに「エド」っていう名前を付けていた。

 でも、どっから、その「エド」っつう名前が出てきたんだ?

 二文字で、めっちゃ呼びやすいけど。

 気になったら、知りたくなる。

 分かんないまんまに、しときたくないのよね。

 ワンコと追いかけっこをしていた、フェリックスに質問する。

「そのワンコ、なんで、『エド』って名前なの?」

 オレが問うと、フェリックスがワンコの背中を見せてくる。

「あのね、ここんとこに『ed(エド)』って、あるでちょ?」

「ああ、それ?」

「だから、エドなの」

 ワンコの背中に、模様らしきものがある。

 言われてみれば、『e』と『d』に読めなくはない。

 そう思って見ないと、見えないけど。

 オレが人差し指で模様をなぞると、ワンコはくすぐったそうに、身じろぐ。

 その反応が面白くて、背中をなぞり続ける。

 すると、ワンコがウザったそうな顔で、前足でパンチしてきた。

 仔犬特有の困り顔と、「きゅ~んきゅ~ん……」という弱々しい鳴き声が可愛い。

 見かねたのか、フェリックスが注意してくる。

「もぉおお~っ、お兄しゃん、エド、イジメちゃメでちょっ!」

「はいはい、ごめんごめん」

 怒られても、ちっとも怖くない。

 ほっぺたぷっぷくぷーに膨らませてんのが、可愛めんこい。

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