第17話 アラオザル⑦
街のサイズがトウチョ=トウチョ人に合わせてあるので通路や建物も少しづつ小さい。
今案内してくれているトウチョ=トウチョ人も多分1メートルと少ししか身長が無いが成人ではあるようだ。
建物も少しづつ小さいので入るとしたら屈んで入らないといけないだろう。
最下層ではないが相当降りたあたりで案内のトウチョ=トウチョ人が立ち止まった。長老の家の前のようだ。あまりにもすんなり辿り着けたので少し拍子抜けしてしまっていたが何事も起こらない方がいいに決まっている。
「ここが長老の家だそうよ。入ってもいいみたい。貢物は多いに越したことはないって。」
辛うじて話が通じる真知子がなんとか理解して通訳する。万が一とんでもない間違いをしてしまったら命取りになり兼ねないが他のメンバーでは全く意思疎通が出来ないので信じるしかなかった。荒事になれば火野と浩太で切り抜けるしかない。
「入ろう。」
火野が決断する。他の四人も異存はない。中に入るとやはり少し天井も低いが立てない高さではなかった。入って直ぐの部屋に数人のトウチョ=トウチョ人が居たがどうも長老ではないようだ。
案内してくれたトウチョ=トウチョ人が何やら説明をしてくれている。真知子が話しかけられる。
「この人たちにも貢物だって。」
大量に持ってきた紛い物の貴金属を大盤振る舞いするととても喜んでいる。騙している訳ではない。欲しいというからあげているのだ。
一通り騒ぎが落ち着いた時、奥から一人背丈は他のトウチョ=トウチョ人よりも少し高く恰幅もいいトウチョ=トウチョ人が出てきた。どうやら、これが長老らしい。
「この人がトウチョ=トウチョ人の長老、エ=ポウ、と言う人らしいわ。」
一同、皆一通り情報は頭に入れてある。その中にトウチョ=トウチョ人の長老の名と年齢もあった。それが正しいのであれば今目の前にいるエ=ポウは七千歳を超えているはずだ。確かにそう言われれば見えなくもないが普通の生物が七千歳を生きることが可能なのだろうか。
「初めまして、俺の名は火野将兵、こちらは彩木瞳と桜井亮太、岡本浩太と通訳をしてくれている風間真知子。長老におかれては面会を許してもらってありがとうございます、礼を言います。」
火野は持ってきた残り全ての紛い物を長老に手渡した。今までのトウチョ=トウチョ人とは違いエ=ポウはそれほど喜びを表には出さなかったが、多分見間違いでなければ少し微笑んだようだ。
「遠くから来た客人、どうもありがとう。それでどんな用で来られたのか、と聞いておられます。」
真知子の通訳を通さないと話が進まないのはもどかしいが少しずつ話すしかない。
「実は長老にお聞きしたいことがあってここまで参りました。」
火野はトウチョ=トウチョ人の長老エ=ポウにここまで来た理由を話すのだった。
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