第60話 エルフの里とメアの実家
程なくして、俺達はエルフの里の関所の様な所に到着。
それと同時にクソエルフの部下達が即座にクソエルフを他のエルフに引き渡すと、仕切りに身振り手振りを入れながら、エルフにしては珍しくムキムキな門番の様な男に話をしている。
数分経つと、やっと話が終わったのか、その門番と先程まで俺達を案内していたエルフ———名をコールと言うらしい———が此方に向かって来た。
「……其方が我らエルフ族の英雄メア様の夫でラウラを去勢したジンで合っているか?」
「ああ。因みにあのクソエルフにしたことは絶対に謝らん。人の妻を口説くなど言語道断だ」
俺が憮然とした態度で言うと、ムキムキのエルフが槍を地面に突き刺し、跪いた。
そして俺に向かって深く頭を下げる。
「———すまない。我が同胞が悪い事をした。今後ラウラには適切な処分を下すことにしよう。それにエルフの里への入国も許可する。だが……ラウラを殺すのだけは勘弁願いたい。あんな大馬鹿者でも大切な同胞なのだ」
……どうやら頑固そうだと感じたこのムキムキエルフは常識のある奴だったらしい。
まぁ急にプロポーズかます様な奴には、重要な門番も務まらないか。
「いいだろう。その代わり金輪際あのクソエルフを俺達の目に入る所にいさせるな」
「承知した。奴には其方らがいる間は自室での待機を命じておこう」
「なら言うことはない。———メアもそれでいいか?」
「はい」
メアは俺の問いにこくりと頷いた。
するとムキムキエルフは少し顔の表情を緩めると、メアにも跪いた。
「お初にお目に掛かりますメア様。私はゴルドと申します。メア様のご活躍は修行中の私の耳にも入るほどで、一度お会いしたかったのですが……私の想像以上でした」
「そんなことはありませんよ。私は既に戦いから十数年身を引いて居ますので。それに敬語は不要です」
「メア様が仰るのであればやめま———るとしよう。それにどれだけ戦闘から身を引こうと貴女様は紛れもなくエルフの英雄。きっと同胞の皆が帰りを心待ちにしていたはず。お帰りなさいませメア様。そして———ジン殿、ようこそエルフの里へ。歓迎致す」
そうして俺たちは無事エルフの里へ帰ることが出来た。
———エルフの里。
世界樹のお膝元に君臨するこの里には、ゲームと同じ様に様々な希少素材や武器、果てにはゲームでも見たことない不思議な食べ物もあった。
どうやら俺は少々エルフの里を舐めていた様だ。
俺の国では1億程するオリハルコンが、此方では僅か500万程で売っていた。
更に高額換金素材である、クリアエメラルドが此処では1万程。
勿論どちらも即買いした。
今回はメアからも今回はお得なので買っていいとのお達しが出ている。
「……そんなに買うの、仁?」
「勿論。だって買ってて損はないだろ? もしもの時は国で売ればいいし」
現在は2人のため、いつも通りの砕けた口調で話している。
ゴルドやコールは何やら話し合いがあるとの事で席を外しており、明日迎えに来ると言っていた。
「なぁメア……ゴルドの言う
「……多分私の追放のことだと思う。仁の強さを見れば誰も文句は言わない。でも私は一度追放された身だから、本来この里に入ることは出来ないはずなの」
「でも意外とみんなすぐに入れてくれたけど? と言うか本当に追放されたのかってくらい崇められてるけど?」
「……そう言う恥ずかしいこというのやめてっ」
メアが顔をほんのり赤くしてふいっとそっぽを向く。
しかしそれはほんの少しの間のことで直ぐに持ち直すと、スタスタと迷いなく歩を進める。
「今どこに向かってるんだ?」
「……実家」
「あ、もう行くのか」
「うん。ずっとソワソワするのは嫌だから」
確かに俺もメアの両親に会うのは普通に緊張する……と言うかさっきからずっと緊張している。
だって前世も含めてお付き合いしている人の親に「娘さんをください」なんて言ったこと無いもん。
こちとら今はこんなのだが、前世は普通に陰キャオタクだったし、そもそも女性と付き合ったことがない。
「……メアの両親ってどんな人達なんだ?」
「普通の親だよ」
「そ、そうか……」
普通の親じゃ何も分からないじゃないか。
俺は結局どんな人達なのか分からないまま、ビクビクしながらメアへとついて行った。
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それと新作を投稿しました。
是非見てくださると嬉しいです。
『最弱覚醒者は幾億の時を経て最強に至る〜【極致異能力】と規格外ステータスで現代無双〜』
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