第58話 メアの両親に挨拶を③

 お久しぶりです。

 やっとリアルで課題テストと模試が終わったので更新をちょっとずつ再開しようと思います。

 これからもよろしくお願いします!

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 それから次々に襲いくるモンスターを処理しながら進むこと数時間。

 途中でお昼ご飯を挟みながらも俺達は歩き続けていた。


「霧が酷くなってきたな……」

「多分精霊が遊んでる。私達はどちらも精霊使いだから。特に仁は精霊王様の契約者だし、魔力も多いから精霊達に好かれやすい」


 成程……これで遊びか……。

 この霧できっと何千、何万もの人が死んでいると思うとゾッとするな。


 しかしメアは、ズンズンと迷いなく霧の濃い方へ向かって歩いていく。

 俺には全く道が分からないのだが……やはりメアがエルフだからだろうか?


 エルフは森の加護的なものを持っているとゲームの途中で聞いたことあるし、そもそもこの森は全てエルフのお庭みたいな物だから庭で遊んでいる様な感覚なのかもしれない。

 こんなに大きな庭は正直要らないと思うけど。


「———ストップ」

「ん? どうしたんだ?」


 そんな事を考えながらメアについて行っていると、急にメアが止まった。

 更にメアは仕切りに周りを鋭い目で睨み付けている。


「……同族が弓を引いて待ち伏せしてる。人間と追放された私が来たからかも」


 確かにこの世界のエルフも人間嫌いなのは相変わらずなので、俺が来たら攻撃されてもおかしくない。

 なら今回は俺がなんとかした方がいいかもな。


「メア、ここは少し俺に任せてくれ」

「でも……ん、分かった。でももし攻撃されたらやり返していいよ」

「いやそんな事したら余計入れないじゃん」

「……仁を攻撃する様な奴らに挨拶なんて必要ない」


 メアは少し頬を膨らましてそんな可愛い事を言ってくる。

 若干此方をジト目で見ている姿もグッとくるものがあるな。

 

 ……俺の彼女かわぇぇぇ……。


 俺はほんわかしながらも、メアの頭に手を置いて優しく撫でる。

 すると途端にメアの表情から険が取れ、気持ちよさそうに目を細めた。


「……頭撫でるの、ずるい……」

「でも嫌いじゃないだろ?」

「……うん」

「じゃあ俺の後ろにいてくれ。もしもの時は俺が守るから」

「うん」


 メアが俺の後ろに移動したのを確認すると、俺はシェイドを召喚。


『あ、主人様っ! 今日はどうしたの? 周りにお友達が沢山いるね! ……あれ? なんで僕達に危ない意思を感じるの?』

「ちょっとエルフと揉めててな。だが……シェイドのお陰で解決しそうだ」


 俺とシェイドが話していると、ドタドタと今までの静かさが嘘の様に俺達の下に複数人のエルフが現れると、ドンッと膝をついて跪く。

 そして1番前に跪いたエルフが頭を下げながら声を出す。


「お初目にかかります、闇の精霊王様! 私はエルフ国第3防衛隊隊長のラウラと申します!」

『あ、うん。……ねぇ主人様、ボクはどうすればいい?』


 シェイドが俺の肩に止まってそう聞くと、エルフ達が『ピシャァン!』と効果音がつきそうなほどショックを受けた様な表情をしていた。


「に、人間が精霊王様と契約しているだと……!? しかも主従契約!? ……人間! 貴様精霊王様に何をした!?」


 突然ラウラとか言うエルフが激昂すると、他のエルフ達と一緒に弓を構えて魔法の準備をし出した。

 人数はざっと20人くらい。


「いや別にただ契約しただけだが……」

「精霊王様と主従契約を結べる者はエルフでさえ女王様と希代の大天才のメアくらいだぞ! 人間などが正攻法で結べるわけないだろうが!」


 ……なんか酷い言いようだな。

 幾ら嫌いだからって初対面で此処まで失礼な態度をされると腹立つんだけど。

 

 しかし此方が手を上げるわけにはいかない。

 何せ俺はメアの両親に挨拶を…………ん?


 俺はそこでピタッと動きを止める。

 そしてゆっくりと俺の背後に隠れているメアに視線を向けると……ビクッと震えてスッと目を逸らした。


「メア?」

「……何でしょうか?」

「精霊王と契約してるってホント?」

「…………はい」


 敬語になったメアをジッと見つめていると、折れたのか意外に素直に頷いた。

 

「何で教えてくれなかったの?」


 メアが精霊王と契約しているなんて俺ですら知らなかったし、運営陣もそんな発表はしていない。

 ただ……メアの強さを考えれば精霊王と契約していてもおかしくないか。


「……今は使えないから……」

「……それもエルフ達の国で聞いてみよう。きっとまた呼べる様になるよ」

「……うん」

「————私達を無視するな!」


 俺たちが話していたら、横からラウラとか言うエルフが顔を真っ赤にさせて怒っていた。

 しかし、俺の後ろに隠れていたメアの顔を見ると、ビタッと先程の俺の様に固まる。

 そしてエルフ達に弓を下げさせると、自分は弓を投げ捨てて高速でメアの前に傅くと———


「メア、私と結婚しよう!」

「はい?」

「よし殺す」


 キラキラとした目でメアを見るラウラにドン引きの表情でラウラを見るメア。

 そして俺は———殺意マックスの魔力を全開。拳を握り締め———

 

「なに人の妻にプロポーズしてんだボケがああああああああ!!」

「はぁあああああああああ!?」


 俺は全力でラウラとか言うクソエルフにアッパーをかました。




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