第44話 VS精霊王(火・水・地・風)②
俺は精霊王達に向かって全力で魔法を発動する。
「―――【多重神魔結界】【極光刃】」
結界はシェイドを追いかけられないようにするためで、極光刃は魔法の支配権を奪われないようにするためだ。
精霊王達は自身が司る属性は自由に使え、それが相手の魔法であっても一瞬にして支配権を奪うことが出来る。
よって現時点で俺が使えるのは光、闇、時空魔法のみだ。
ピカッと光ると同時に精霊王に光の刃が到達する。
―――斬ッッ!!
反応すら出来なかった精霊王達の体が真っ二つになった。
しかし体が魔力体のせいで一瞬にして再生し、何事もなかったかの様に魔法を放ってくる。
『我らの聖域に入ってくる奴は排除する―――【炎の鎖】【炎槍】』
「―――【影走り】―――なら正気に時に言ってほしいな!」
火の精霊王がそう唱えると、俺の周りを埋め尽くす位の鎖と槍が現れ、捕まえようと自由自在に追いかけてきた。
俺は魔法当たる瞬間に影の中に退避―――からの、水の精霊王の後ろに出現して魔力の纏った拳を全力で打ち付ける。
ヒュッ―――スパンッッ!!
俺の魔力の籠もった一撃は確実に捉えるも、水の如くまるで手応え無く空振ってしまった。
「チッ……全然攻撃が当たら―――ッ!?」
俺は咄嗟にその場を飛び退く。
それと同時に俺の居た所の地面から岩が突き出す。
あっぶねぇ……後少しで串刺しになる所だったぜ……。
俺は冷や汗をかきながらも、余裕そうな笑みを意識して浮かべる。
すると、精霊王達は無言のままだが、明らかに敵意が増した。
これでもうシェイドに構う余裕はないだろう。
俺は魔力器官を全て開放し、足止めの魔法を繰り出しまくる。
「―――【多重展開:極光刃・影刃】」
俺の右手には極光刃が、左手には影刃が浮かび、弾丸の様に連続で精霊王達に向かって全力で撃ち込まれる。
『―――ッ―――【炎の壁】』
『消えてください―――【水竜】』
しかし全て炎の壁によって防がれ、その合間に水の竜が何体も咆哮しながら襲いかかってきた。
「「「「グルゥアアアアアアア!!」」」」
「ドラゴンはとうの昔に攻略済みだッッ!! ―――【竜殺し】」
俺の手のひらから黒い光線が発射されると、水の竜を一瞬にして消し飛ばし、そのまま精霊王にも迫る。
しかし先程俺を攻撃していなかった地の精霊王が地面を隆起させて防いだ。
惜しかったな……もう少しで2人ヤれそうだったのに……。
俺が心の中で残念がっていると、攻撃を防いだ地の精霊王が忌々しげに呟く。
『チッ……小童のくせに無駄に力を持っているな……。シェイドの奴と契約している様だし……』
「まぁこれでも世界最高の才能持ってるんでな。本来の力を出せてない貴様らに負けるわけないだろうが」
本来の精霊王はこれの10倍くらい強い。
多分今シェイドと4人が戦ったらギリギリシェイドが勝てるだろう。
しかしその言葉が気に入らなかったのか、精霊王達はものの見事にカチンときていた。
『……貴様は殺す』
『我らは新たな力を得たのだ……それを見せてやる』
遂に来るか……!
ゲームでも何度も苦しめられたアレが。
『『『『———【虚無化】———』』』』
俺が身構えると同時に4体の魔力が瘴気へと変わっていく。
そして全身を真っ黒に染めた4体は虚ろな瞳を此方に向けて、機械の様な声で詠唱をする。
『『『『———我ら四大精霊の王が命ずる———【侵食】』』』』
その瞬間に4体の体から噴き出した瘴気が聖域を侵食していく。
しかし、その代わりに4体の顔は苦痛に歪んでおり、所々体が崩壊し始め出した。
これがゲームの時の最終奥義。
一度発動されれば地獄の様な難易度に跳ね上がる。
そして一定時間内に止めなければバッドエンドで世界の半分が終わる。
兎に角めちゃくちゃヤバい物で、超越級魔法でも歯が立たない。
ゲームではゲージみたいなのがあり、それを攻撃すれば止めることが出来たが、この世界では違う。
要は瘴気を作り出している機械を壊せば良いわけだ。
と言うことで完全にシェイド任せ。
俺は時間稼ぎに死力を尽くさなければならない。
そこまで考えてゲンナリとする。
あークソッタレ……全部あの馬鹿主人公のせいだボケが……。
何で俺が世界の為に命かけないといけないんだよ。
そう言うのは悪役じゃなくて主人公がやるもんだろうが……。
「俺はただ……メアとの平穏な生活が送りたいだけなのに……」
俺は残りの魔力の殆ど全てを費やす。
そしてその魔力で1つの魔法を生み出す。
「————【禁術魔法:侵食】————」
その瞬間に精霊王達と
終わりは近い———。
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