第3章 王女と秘密結社

第37話 悪役貴族の評判の変化

 新章開幕!

 それと遅くなりましたが、この作品のフォロワー3500人突破&ジャンル別週間10位ありがとうございます!!

 それでは本編をどうぞ。

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「久しぶりの登校だな……まぁ大して変わってはいないが」


 俺は、停学期間が終わってしまったため、1週間ぶりに学園の門を潜っていた。

 正直後1年位停学でも良かったのだが……まぁ留年はしたくないので我慢しよう。


 因みに此処までは馬車で来たのだが、相変わらず身体中が痛くなった。

 本当にこの痛みは何とかならないのだろうか?

 

「まぁそれはおいおい考えるとして……昨日ぶりだな、ルド」

 

 俺は正門近くの木陰に隠れているルドに話しかける。

 何故隠れているのかは知らないが、昨日のような全力で隠れているわけではなかったため、すぐに分かった。


「ちぇっ……もう少しバレないと思ったんだけどな……」

「無駄だ。その程度の隠密なら一瞬で気付く。それで……どうして隠れていたんだ?」


 正直全く隠れている意味がないと思う。

 何方かと言うと、ただの変人な気が……そう思ったら何か関わりたくなくなってきたな……。


 俺が若干引きながら後ずさっていると、ルドが大慌てで身振り手振りも加えて弁明しだした。


「ち、違うんだ! いや違わないことはないんだけど……」

「…………で?」

「生徒の反応を見てジンがどんなリアクションをするかを盗み見ようとしてました!」


 俺の眼力にあっさりと負けたルドが素直に話す。

 さながら上官に報告するかのように。


 俺はルドの言葉で始めて周りを見渡す。

 すると俺と目が合った生徒は軒並み目を逸らし、逃げるように校舎の中へと走っていった。


「……どうしたんだ一体? 何故俺と目が合った途端に逃げだ―――ああ……そう言う事か」

「分かったか? 今やお前は恐れられる様になってしまったんだよ。しかも噂じゃなくて皆見てたし」


 そう言われるとぐうの音も出ない。

 確かに誰も見ずに耳だけを傾けてみると……


「おい、アレってジン・ディヴァインソードじゃないか?」

「うん? ……ああ間違いないな。そう言えば今日から復学だもんな」

「うわっ……俺絶対話さないようにしよ。ユージンみたいになりたくないし……」

「俺も。大体目をつけられたら一体何をされるか分かったもんじゃないしな」

「あの魔法クソ怖かったし!」


 ルドの言う通り、皆俺を恐れていた。

 まぁ俺的には陰口を言われるよりもよっぽど精神的に楽なのでむしろどんどん言って欲しいくらいだ。


「―――どうだ?」


 ルドがいつの間にか横に来ており、ニヤニヤしながら訊いてきた。

 そこで俺は、


「―――最高だな」


 フッ……と笑みを浮かべた。

 










 俺が教室に入ると、やはり皆俺を見ようとせずあからさまに目を逸らす。

 あの決闘は予想以上に俺にいい効果をもたらしてくれた様だ。


 だが1人だけ―――メインヒロインのソフィアだけは、俺を見るなりずんずんと近付いてきた。

 一瞬他の人かなと思ったが、明らかに意識が俺に向いているし、俺の周りにはルドしか居ない。

 俺は少しめんどくさく思いながらも、礼をする。


「これはこれは王女殿下。一体俺に何の用ですか? ユージンに関しては謝罪しませんよ」

「そんな事ではないわ。いえ……ウチのユージンが迷惑をかけて悪かったわね。今回は私達が全面的に謝罪するわ」


 何だよいきなり……謝られると怖くなるんだが?


 しかし流石に王族にそんな口を叩けば社会的にボコボコにされそうなので辞めておこう。

 折角皆が俺を無視してくれるんだからな。


「王女殿下の謝罪は受け取りました。ですが……ユージンには沢山謝ってもらったのでもう謝罪は良いです。それよりもご要件の方をお伺いしても?」


 俺がなるべく丁寧にそう訊くと、王女さんは一瞬顔を歪めながらも『ビシッ!!』と効果音が出そうなくらいに俺を指差して言う。


「私にその態度を取るのは好きにして構わないけど…………これから来る人には絶対にその態度は取らないでよね!!」

「…………は?」


 それだけ言うと、俺を無視して心配そうに俺達のやり取りを見ていたアリアの元へと戻っていった。

 俺はその姿をぼんやりと眺めながら、横で同じく呆然としているルドに訊いてみる。

 

「……何だアレは?」

「いや俺に訊かれても分からないぞ。まぁ……特に気にしないで良いんじゃないか? どうせこれから来る人って言っても俺らには関わらないだろ」


 まぁそれもそっか。

 今更俺に関わろうとする奴なんてよっぽどの変人か暗殺者くらいだよな。


 俺もルドの言葉に従って特に気にせず席に座る。

 そして久しぶりの授業だけど剣術の授業ついていけるかなぁ……とかぼんやり考えていると、このクラスの担任である軍隊女が1人の少女を連れて入ってきた。

 その瞬間にクラスが俺が入ってきた以上にざわめく。

 男子も女子も総じてその少女に見惚れていた。


 軍隊女が少女とともに教卓の前に移動すると、


「皆おはよう! 色々と報告はあるが……取り敢えず皆が気になっている事から紹介しよう。では……ご紹介をよろしくお願いします」


 そう言って少女に頭を下げる。

 俺はクラスの異様な空気が少し気になったため、何気なくそちらを向くと―――


「初めまして皆様。わたくしの名前は、シンシア・フォン・ブリリアント・プルーフと申します。歳は14ですが……飛び級と言う制度で此方に早く通うこととなりました」


 ―――バッチリと目が合った。

 更に彼女は、俺に向けて【念話】を飛ばしながら―――


「よろしくおねがいしますね」『ジン様?』


 皆(俺以外)が見惚れてしまう様な笑みを浮かべて頭を下げた。


 あー……変人1人釣れましたー。


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