第29話 悪役貴族は濡れ衣を着せられる様ですよ(胸糞かも)

『災厄の杖』と契約をした次の日。

 

「おい、この杖本当に大丈夫なんだろうな? いきなり俺を攻撃してきたりしないだろうな?」

「だから何度も大丈夫だと言っているだろうが! 貴様もいい加減五月蝿いぞ!」


 ルドが俺の、指輪に変形した『災厄の杖』を指さしてギャーギャーと五月蝿いので拳骨を一発お見舞いする。

 しかし頭を押さえながらもルドは依然として警戒の目を俺の指輪に向けていた。

 

 俺は面倒くさくなったので一旦ルドから目を離し、ため息を吐きながら教室に入る。

 

 ザワザワ……。


 俺が教室に入ると同時に突然教室がザワザワと五月蝿くなってきた。

 何時もは俺が教室に入ると、皆目を逸らすのだが、今日は皆の目が俺に集中する。

 皆の瞳には、俺への嫌悪、侮蔑の他に明らかな敵意が混じっていた。

 特に女子からの。


 その異様な光景にルドがボソッと俺に訊いてくる。


「……おいジン、お前一体何したんだ……?」

「何でもかんでも俺がやらかしたと思うな。そもそもここ最近はずっとお前といるだろうが」


 そう、最近はルドと一緒にいるので特に悪い噂をされるような事はしていない。

 では一体何故これほどまでに敵意を向けられるのだろうか?


 俺は首を傾げながらも、別に喧嘩を売られているわけでもないので無視して何時もの席に座る。

 ルドもそれに釣られて俺の隣に座った。


 しかし一番後ろにもかかわらず、視線が止むことはない。

 それどころか俺を見ながらヒソヒソと何かを話している。


「ねぇあの噂って本当なのかな?」

「どうせ本当だろ。だってアイツだぜ?」

「数々の悪い噂もあるしな」


 噂……?

 今度は俺が何かしたのだろうか?

 

「おいルド、貴様俺の噂を知っているか? 新しいやつな」

「俺が知っていると思うか? 俺は禄に友達居ねぇんだぞ」


 そう言って自信満々に胸を張るルド。

 全く自信満々に言えるような事ではないが、コイツも知らないとなると一体どんな噂なんだ?


 俺がいよいよ訳が分からず頭の中に『?』が浮かんでいると、再びコソコソと話し声が聞こえてきた。


「アイツよく今日学校来れたよな。昨日あんな事しておいて」


 その言葉に俺達2人の背筋が凍る。


「な、なぁもしかして昨日のって……あれかな?」


 ルドが冷や汗を垂らしながら訊いてくる。

 勿論昨日の事とは『災厄の杖』の事だ。

 しかしバレていたら1番に学園から呼び出しを食らうはず……



「―――図書室で女子生徒に強姦しておいてさ」




 ……………は?


「「え? 何だそれ??」」


 俺達2人共意味が分からず情けない声が漏れた。








 色んな生徒が話していたことを統計すると、こんな感じになった。


 昨日の放課後、図書室で2人の女子生徒が強姦にあったと言う。

 犯人は1人の男子生徒で、図書室で勉強をしていた女子生徒達をいきなり魔法で拘束し、動けなくした上で、嫌がる2人を暴行で黙らせてから犯行に至ったらしい。

 その途中で勉強の約束をしていた女子生徒が遅れてきて犯行を発見。

 魔法を使って何とか撃退し2人を助けるも、既に終わった後。

 2人は今日は学校に来ていないんだとか。


 ……うん、何だよそれ。

 全然俺関係ないじゃん。

 と言うか昨日の放課後は俺達が居たが、誰も居なかったぞ?


「ジン……これって……」

「ああ。誰かが俺を貶めたいらしい」


 まぁ今の話を訊いていると、大体誰がデマを流したのか分かった。

 恐らく2週間前に俺が婚約破棄を宣言し、既に家にも認められた元婚約者のユフィ達だろう。

 取り巻きが2人いたし、何よりアイツは相手の不幸を快楽に思う屑。

 まだ証拠が無いのでよく分からないが……アイツの性格からして99%そうだろう。


 ほんと……やってくれたな。


 俺は怒りで魔力が漏れそうになるのを拳を握って必死に耐える。


 折角俺が見逃してやったと言うのに、まさかあちらから仕掛けてくるとは。

 これは歯向かう事も出来ないように完璧に心をへし折って居るべきだったか?

 まぁ……今そんなことを考えた所で何も変わらない。

 兎に角この噂は確実に消さないと。


 この世界でも強姦―――特に貴族の令嬢への犯行はどんな者であろうと重罪が課せられる。

 今までの幼稚な噂は勝手に言わせておけばよかったが、これは不味い。

 普通に牢獄エンドを迎えてしまう。


 俺が必死に解決策を練っていると、教室の扉が開き、何人かの者が此方に向かってくる気配がした。

 しかも今一番来てほしくない奴らだ。


 俺がイライラしながら上を向くと、そこには憤怒に顔を染めたユージン達主要メンバーの姿が。


「ジン・ディヴァインソード! 一体何があったのか説明してもらおうか!!」


 ユージンが吐き捨てる様に言う。

 横には王女さんがおり、黙秘は絶対に許さないと言った風に此方を睨んでいた。


 あーくそったれが。

 ほんとツイてないな……。


 俺はため息を吐きながら天を仰いだ。



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 あと2話程で胸糞は終わり、そこからはスカッとする話になりますので、どうか見てください!!


 今日の18時にも1話投稿します。


 下⇩⇩⇩の☆☆☆を★★★にしてくださると嬉しいです。  


 

 

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