第27話 騎士型ゴーレムとの戦闘ですよ

「……なぁ一体アレはどうやって倒すんだ?」


 ルドが依然青い顔のまま10体程の騎士型ゴーレムを指差して聞いてくる。

 まぁ確かにアイツら1体1体から漏れ出る魔力は相当な物で、怯んでしまうのも無理はない。

 だが―――


「安心しろルド。俺達は戦わなくてもいい」

「……何だって? どうして俺達は戦わなくていいんだ?」


 そんな至極当然な事を聞いてくるルド。

 だが俺はその質問に応えず―――と言うよりも答えられないのだが―――1人部屋に入っていく。

 

「少し待ってろ。直ぐに終わる」

「いやちょ、待っ―――」


 俺はルドから少し離れると、誰にも聞こえない声量で呟く。 


「―――闇の精霊よ。契約に従い我が元に現れよ―――【精霊召喚】」


 俺がそう唱えると同時に、俺の目の前に30センチ程の背中に羽の生えた妖精みたいな小さな少女が現れる。


『ふわぁぁ……んみゅ……? あっ、おはようジンさまっ! 今日は何して遊ぶの!?』


 少女は俺の肩まで飛んできて、頬を突きながらキラキラした目を向けてくる。


 彼女の名前はシェイドと言い、闇属性の精霊王だ。

 しかし四元素の精霊よりも生まれるのが遅かったこともあり、精神年齢は少々幼く好奇心おう盛で何にでも興味を持つ。

 だがその力はピカイチで、主に相手へのデバフが得意な精霊だが、影や重力などの強力な攻撃も出来る万能型である。


 そして精霊は基本契約者か、同じ精霊使いでないと見えないので、ルドのことは気にせず使用できる。

 残念ながら主人公とアリアには見えてしまうため、序列戦では使えなかったが。


「すまんなシェイ、いきなり呼び出して。今日はあのデカいお友達と遊んでくれ。何でも・・・していいぞ」

『えー!! ほんと!? 思いっ切り遊んでいいの!?』

「ああ、勿論だ。この部屋を壊さなかったら好きな様に遊んでもらえ」

『やったぁっ!! じゃあ遊んでくるねっ!』


 俺が笑顔でそう言うと、シェイドは嬉しそうに俺の肩で飛び跳ねた後、物凄い速さで天井まで飛行する。


『うーん……あっ―――【皆止まって】!!』


 シェイドが少し迷った末に思い付きでそう言うだけで、全ての騎士型ゴーレム達の動きが止まる。

 今発動しているのは影属性の、相手の影を縛ることで本体も動けなくなる――【影縛り】と言う魔法だ。

 今の俺では無詠唱だと5体が限界だが、シェイドはそれこそ何十体でも動きを止めることが出来る。

 やはり精霊は―――それも精霊王はスペックがずば抜けてやがるな。


 この魔法だけでも十分凄いが、シェイドの遊び・・はこれで終わりではない。


『皆おっきいなぁ……―――【潰れる】と小さくなるかなぁ? あっでも折角大きな玩具おもちゃなんだし大きい方が良いよね』


 シェイドの何気ない言葉で重力魔法が発動し、何十倍もの重力がゴーレム達に襲いかかる。

 そして解除されるほんの数秒の間に、小さくて魔力量の少ない5メートル程の騎士型ゴーレムは重力に抗う魔力が足りずに潰れた。

 それもほんと鉄板の様に薄く細長く。


「……いきなり何なんだよこれ……ジンのやつ全く動いてないのに勝手にゴーレムが倒されてくし……」


 後ろからルドの唖然とした声が聞こえるが、今だけは無視させてもらおう。

 全てこの部屋のギミックって言ったら信じてもらえるかな?

 無理そうなら……いやどんな事があろうとこの言い訳でゴリ押ししよう。


 俺がそんな事を考えている間にも、シェイドは楽しそうに遊んでいた。


『うわぁ……凄い凄いっ!! ボクの魔法食らって死んでない!! ジンさま、もっともっと強い魔法使っていい!? あっ、それと少し持って帰っていい? ボクの永久版玩具にするのっ!』

『好きにしろシェイ。ただ部屋だけは壊すなよ?』

『勿論っ! じゃあ次は―――【落ちて】! そして―――【えいっ】」


 影魔法の【影沼】に3体ほどのゴーレムが呑み込まれ、残りのゴーレムは手をぎゅっと握ったシェイドによって、一瞬にしてミリにも満たないサイズに潰される。

 その光景は非常に衝撃的で、ルドなど既にびっくりし過ぎて気絶してしまっていた。


「……アイツに目隠しと耳栓してあげたら良かったかもな……」


 俺がルドを同情していると、スッキリした顔のシェイドが再び俺の肩に乗り、『今日はありがとっ。また遊ぼうねっ!!』と言ってこの場から消えてしまった。

 

 因みにこんな強さを持っているシェイドだが、原作ではそもそも登場すらしておらず、話で少し出た程度で殆誰も詳しく知らない。

 と言うか、そもそも四元素の精霊以外の精霊は殆ど人間が目にすることがないので詳しく書かれている書物も少ない。

 

 因みに主人公は闇ではなく、光の精霊と契約する。

 どうやら闇と光を何方も契約するのは絶対に無理なんだとか。

 魂の本質? みたいなのの影響らしいが、俺には全く意味が分からなかった。


 まぁ……今はそんな事どうでもいいか。

 どうせその内分かるだろう。

 未来の俺、任せた!


 俺は完全に未来の俺におしつけ、気絶したルドを身体強化を使いながら持ち上げて目的地へと向かった。

 

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 もう1話投稿出来ますわ。

 と言う事で18時から19時の間で投稿します。


 下⇩⇩⇩の☆☆☆を★★★にしてくださると嬉しいです。  

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