第24話 悪役貴族の婚約破棄ですよ

 ☆500ありがとうございます!

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 序列戦は結局俺が居なくなってからも続いたらしく、昨日の夜、俺がメアに回復魔法で心身共に癒やしてもらっていると、宿に序列表が届いた。

 そこには1位が王女様、2位がユージン、3位がアリアと書いてあり、肝心の俺はと言うと……


「最下位ね……まぁ一回しか戦っていないし、そもそもその一回も負けてるから妥当と言えば妥当だけど」

「ちゃんと約束を守ってくださったのですね」

「まぁメアのと約束だからな!! 俺が破るわけ無いだろ?」

「そうですね……辛いし大変だと思いますが、この調子で頑張ってください」


 と順位は最下位だったものの、メアに褒めてもらい、ご褒美として膝枕までしてもらったので、俺としても全く文句のない数字だった。

 強いて言えば、ゲームと全く同じ順位だと言う所が少し気になるが、やはり主人公も無理にストーリーを改変しようとは思っていないらしいと言う事の証明なので、少しホッとしている。

 まぁストーリーが変わらなかったら俺は死ぬんだけど……今の強さがあれば大丈夫なはずだ、きっと。


 俺が誰も居ない中庭でメアに作ってもらった弁当を頬張りながらそんな事を考えていると……3人の上級生らしき女子生徒が此方に近付いてきた。


 なんか何処かで見たことがあるような……?

 でも転生してからは会ってない気が……ならゲームにそれなりに出てきたキャラか?


 俺が見覚えがあるようで中々思い出せず首を傾げていると、3人の中でも1番偉そうな美少女(メアの方が1000億倍可愛い)が俺の頭を扇子みたいなものでペシッと叩いてきた。

 取り巻きの奴らはケラケラと笑っている。

 

 …………は? え、ボコボコにしてもいい感じ?

 殆ど初対面の奴にいきなり頭を叩かれたんだけど。


「御機嫌よう私の婚約者下僕! 10年も会っていないせいで私の顔も覚えていないでしょう?」

「……そうだな。俺は貴様を覚えていない。それに、貴様のような気狂い女などお呼びではない」

「「「なっ―――!?」」」


 俺の言葉に面食らった様に声を上げる気狂い頭のおかしい女達。

 しかしそれも束の間、直ぐに顔を真っ赤にして言い返してきた。


「き、気狂い女ですって!? 私は貴方の婚約者でケール侯爵家のユフィ・ケールですわよ!?」

「落ちこぼれのくせに失礼すぎではないですの!?」

「自分の立場を分けまえてくださいまし!!」


 あ、あー……思い出した思い出した。

 

 俺は引っ掛かりが取れたかの様に眼の前の婚約者を名乗る女の情報を思い出した。


 コイツはジンの婚約者で俗に言う『悪役令嬢』がよく似合う性悪女だ。

 自分よりも弱いジンの婚約者になることを物凄く嫌がっており、原作では兄と浮気して一緒にジンを虐めていた……が、俺がそもそも婚約者に興味がなく面会拒否していたため、10年間全く会っていなかった。


 よくラノベで実は悪役令嬢が優しかった―――と言うのがあるが、コイツは残念ながらそれに当てはまらない。

 それどころか、ただでさえあまりお金を持っていなかったジンにお金をたかり、その金をイケメンな奴隷を買うのに使うと言う、俺や兄よりも悪役貴族をやっている人間である。


 まさかこんな大事な時間に出会ってしまうとは……メアの愛情が篭った(推測)弁当を食べる学園で1番の至福の時間に。

 そう考えると余計にイライラしてくるな……だがコイツラに時間を使うのも癪だしそのまま無視して食べるか。


 俺は女達から目を離し、再び弁当に手を付ける。

 昔メアに卵焼きが大好きだと言ったら、1からそれに近い物を作ってくれた。

 この世界には醤油はないしな。

 そんな思い出のある卵焼きが今日は入っており、最後に食べようと残しておいたのだ。


 俺はそれを食べようと口に近づけ―――


「―――無視するんじゃないわよ!!」


 ガシャ、ベチャ。


 ユフィの扇子に叩かれて弁当が落ちる。

 そしてもう食べれないほどにぐちゃぐちゃになってしまった。


 ……コイツラ絶対にユルサナイ。


「……貴様、この俺にこんな事をして……覚悟は出来ているのだろうな?」


 俺はモンスターを倒す時の様に殺気を放つ。

 それだけで温室育ちの令嬢たちはビクッと震えて顔が真っ青になった。

 しかしユフィは震えながらもプライドが許さないのか言い返してくる。


「な、何よ! 貴方が下僕の分際で私の事を無視するのがいけないんでしょう!?」

「は? 何故この俺が貴様如き女に時間を奪われないといけないんだ? そもそもいきなり俺の頭を叩く貴様が悪い。一度作法を習ってこい、顔だけの性悪屑女が」


 俺はそれだけ言うと、横でブルブルと震えている取り巻きたちに目を向ける。


「貴様らも貴様らだ。子爵程度の分際でよく俺にそんな口が叩けるな。幾ら俺が落ちこぼれだろうが、貴様らの家を潰すことくらい俺が剣を習得するより遥かに簡単だ。なんなら今日中にでも没落させてやろうか?」

「「ヒッ―――!?」」

「何故貴様らビビっているんだ? あ? 俺の時間を邪魔したんだからこれくらい当たり前だろうが。なぁそうだよなッ!?」

「は、はひッ!! 申し訳ございません!!」」


 2人は土下座をしそうな勢いで頭を下げる。

 まぁコイツラはこれ程度にしといてやるとするか。


「分かったならそこの屑女を置いてさっさと失せろ」

「「は、はいっ!! 承知致しました!!」

「あっ、ちょ、待ちなさい!!」


 2人はユフィの静止の声を無視して脱兎の如く逃げ出していった。


「ふんっ、所詮こんなものか。さて……貴様には色々と言いたいことがあるが……」

「な、何よ!! 私に何かしたら父上が黙っていないんだから!!」


 この期に及んで俺に脅迫まがいの事を言うその胆力には一種の尊敬を覚えるよ。 

 しかしな……食べ物の恨みは恐ろしいんだ。


「ふむ……なら貴様には何もしないでおこう」


 俺のその言葉に少しホッとした表情を浮かべるユフィだが、俺が何もしないと本当に思っているのだろうか?

 だとしたら随分とお気楽な頭をしておられるな。


 俺はふと思い出したかの様に話す。


「そう言えば……一度破棄されたら後が大変になるんだったな。なんでも貴族の間でも忌諱されるとか」

「ま、まさか……」


 安堵の表情から一転―――絶望色に染まる。


「あ、貴方正気なの!? そんな事した貴方にも―――」

「そんな悪い評判など既にありすぎて今更気にすることでもない。ジンディヴァインソードは―――貴様との婚約破棄を宣言する。帰ったらきっとそちらの家にも報告が届いているだろう。よかったな? 俺と結婚せずに済んで。これで仲良く兄と不貞を行えるぞ?」

「―――!?」


 俺は言葉を失って立ち尽くすユフィ―――屑女を置いて教室へと戻った。




 



 


 


 


《―――ジン・ディヴァインソードの破滅ルートが1つ消滅しました》 

 


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 うん、前話でストレス溜まった作者の思い付き。


 下⇩⇩⇩の☆☆☆を★★★にしてくださると嬉しいです。

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