第21話 入学式と世界の強制力(笑)ですよ

 どうも悪役貴族のジンです。

 現在、絶賛入学式の途中で眠気が限界まで来ています。


 いや、皆も一度は経験したことあると思うけど、校長先生的なポジションの人って話長いだろ?

 どうやらそれはゲームの中でも変わらないようで、かれこれ既に数十分間ずっと話している。

 今は……よく分からん世間話だな。

 

 この学園長先生のせいで、入学式に参加している生徒の8割強は強烈な睡魔に襲われており、殆どの生徒が夢の世界へと旅立っていた。

 かく言う俺も、既にうつらうつらとしており、学園長の話が遠くに聞こえる。


 ゲームではここのシーンは省かれていたためそこまで気にしていなかったが、確かゲームでは後20分ほど話していたはずだ。


 後20分か……後20分もあるのか。

 うん無理…………おやすみなさい……ぐぅ……。


 俺は遂に気持ち良い眠気に誘われて意識を手放した。












「―――新入生代表挨拶」

「はいっ!!」

「―――フガッ!?」


 俺は誰か知らないがバカでかい声を出されたことにより眠りから覚める。

 周りの生徒も新入生代表の声のせいで起きたようで、眠たそうに目を擦るもの、小さく伸びをするものが多く見られた。


 しかし……何故かこういった出来事がつい最近あった気がするが気のせいだろうか?

 いや、あったな……入学試験の時だ。

 あの時はほんと寝たことを何度後悔したことか……。


 俺って結構寝ているはずなんだけどな……帰ったらメアにでも相談してみよう。

 それにしても丁度いいタイミングで起こされたな。


 俺は壇上に上がる1人の少女に目を向ける。


 腰まである金髪は壇上の光に照らされて輝いており、この国の王族の証であり、特別な力を持った魔眼とは似て非なるものである『神眼』を2つ・・受け継いだ金色の瞳。

 誰もが美少女だと認める圧倒的な美貌(勿論メアの方が100億倍可愛いが。異論は認めない)。

 

 それがこの国―――ブリリアント王国の第一王女であり、軍隊女と並んでゲームのメインヒロインの1人である―――ソフィア・フォン・ブリリアント・プルーフだ。


 俺がそんな彼女を見て1番に思うことは―――無駄に名前が長い。


 いや、ほんとに長すぎでは?

 公爵家のジンでさえ、ジン・ディヴァインソードだぞ?

 これでも十分長いのにそれを超えるとは……流石王族というわけか。


 俺がよく分からない納得の仕方をしていると、王女様が話し始める。


「皆さん噂で知っていると思われますが、私―――ソフィア・フォン・ブリリアント・プルーフは無駄なことが嫌いです。なので手短にお話します。この学園では全てが実力主義。なので弱い者から切り捨てられます。3年後の卒業の時に皆がここにいる事を願っています」


 王女様はそれだけ言うと、一礼して壇上の降りた。


 相変わらず気の強い奴だな……俺が絶対に関わりたくない部類の人間だ。

 ああ言うのは俺のような普通を目指す、向上心のない者とはつくづく相性が悪いからな。


 俺は軍隊女と並んで最要注意人物として心のメモに記しておく。


「それではこれで入学式を終わります。新入生の皆さんは指定されたクラスに移動してください」


 司会進行役の上級生らしき人がそう言うと、新入生たちはよほど座っておくのに疲れたのか、一気に立ち上がってドタドタと自分の配属された教室へと向かっていく。

 この入学式で残りのメインヒロインと主人公を確認しておきたかったのだが……そう上手くは行かないというわけか。


 どうせ教室で会えるだろう、と考えた俺は他の生徒に習って自分のクラスへと足を運んだ。

 


 

 

 

 


 この学園は、上からS、A、B、C、D、E、Fと分かれており、成績によって分けられる。

 因みに俺は何故かSクラスである。

 まぁゲームでも家の権力使ってSクラスになっていたから、原作通りと言えば原作通りなのだが……実を言うと、俺はBクラスを狙ったつもりだった。


 そうすれば自ずと主要キャラたちと関わらなくても良くなる……と淡い考えを持っていたのだが、どうやらダメだったようだ。

 表を見るに、俺の座学が異様に高いことが分かった。

 

 うん、普通に俺、座学の成績学年3位だったもん。

 1位である王女と、2位の主人公とは大分得点が離れているものの、その間が居なくて俺が3位だった。

 多分俺がSクラスになったのって絶対これが原因だよな。


 これが世界の強制力(笑)かと思わず全身に鳥肌が立ったね。

 まぁ実際大まかなストーリーは現時点でそこまで変わってないしな。


 しかしこのことから、今後も色々な所で注意しなければならなくなった。

 直近で言うとこの後行われる序列戦だ。

 多分、ほぼ間違いなく俺は主人公と決闘をしなければならなくなるだろう。

 まぁ原作とは少し違う展開があって何やかんやで気付けば決闘! となっているんだろうが。


「ああ……憂鬱だ……」


 俺は大きくため息を吐き、Sクラスと書かれた教室の扉を開けた。


 はぁ……せめて主人公がどの程度見せてもらいますかね。

 本当に―――面倒極まりない。

 

 

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 今日はもう1話投稿します。

 18時3分頃に投稿するので、是非見てみてください。


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